■元日に食べる風習が残る地方も。

 

 年末が近づき、スーパーではクリスマスと正月用品が合わせて売られている状況だ。西洋発祥の文化を楽しんだと思えば、その1週間後にはすぐに日本古来の風習が行われる。こうした流れに節操がないといわれることもあるが、よいと思ったものを上手に取り入れ、独自のアレンジで楽しめるところは、日本人のいいところでもある。

 現在はカウントダウンイベントが各地で行われ、除夜の鐘を聞きながら新年を迎えることは少なくなってしまった。それでも最後は「年越しそば」で締めくくる家庭が多いのではないだろうか。

 年越しそばの起源は鎌倉時代までさかのぼるという説があるが、いわゆる縁起物として食べられてきたのは現在も同じ。そばの麺のように細く長く生きる、歯切れのよい麺を食べて悪運を断ち切るなど、さまざまな願いが込められている。

 この年越しそばを食べるにあたり、毎年のように悩むことがある。それは、いつ食べればいいのかということだ。

 大みそかは何かと忙しいので、朝のうちに食べてしまいたい気持ちもある。しかし、そんなに早い時間から1年を締めるというわけにはいかない。かといって、夜は親せきが集まりごちそうが振る舞われることもあって、そばを食べる余裕はない。それでは昼に食べればいいのだが、バタバタしていて食事すらとれないこともあるほど。結局、食べる機会を逃してしまい、紅白歌合戦を見ながら夜食としていただくことが多い。

 

 周囲にも尋ねたのだが、地域や家庭によってもバラバラで、とくに決まりはないようだ。ただ、年が明ける前に食べ終えることが重要であり、これを破ると金運や健康運がダウンするという説が有力だ。

 かと思えば、会津地方のように、元日に食べる風習が残る地方もある。時間にこだわりすぎず、各々のタイミングで食べればいいのかもしれない。

 年越しそばといえば、どのように食べたらいいのか悩むこともある。冷たいもりそばがいいのか、温かくして食べるのがいいのか……。もちろん、この「そば」とは一般的な日本そばであるが、沖縄では「沖縄そば」を食べるという。香川県のようにうどんの有名な地域では、年越しうどんを食べることもある。

 昔からの験担ぎとしては、大みそかのうちに日本そばを食べるのがいいのだろう。しかし、こうした風習通りにしても、いいことばかり続くとは限らない。今年に別れを告げて新年を迎える儀式として、好きなものを楽しむ。これこそが、さまざまな文化を都合よく取り入れてきた日本人らしい年末の過ごし方なのかもしれない。