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毎月いくらかかる?避けては通れない介護「お金」の話

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第三十一回

■もうひとつ、知らないと損をしてしまう話

 最後にもうひとつ。知らないと損をしてしまう話を。

「1ヶ月まるまる入院しても、負担する医療費は同じ」ということは、ケースによっては「月に数日しか入院しなくても、1ヶ月入院した場合と同じ医療費がかかる」という意味にもなる。

 簡単に言うと、入院するなら月をまたがないほうがいい。ぼくはこれを知らず、母の手術の時に「いつ入院しますか。急ぐ手術ではないです」と医者に言われたのに、一日も早いほうがいいだろうと焦り、すぐに入院手続きをとった。そしたら、それがたまたま月末で、月またぎの入院になった。

 高額療養費は月ごとに計算されるから、たとえば12月だけの入院で支払いが8万円なら、上限を超えた金額は戻ってくる。しかし月をまたぎ、11月の支払いが4万円、12月の支払いが4万円なら、どっちも上限を超えないから戻ってくるお金は0円。

 損得を計算して親の入院のタイミングをはかるものでもないだろうが、あとになって、自分の無知を知った次第だ。ネットで調べてみたら、この「月またぎは損」という医療知識は、出産の時に知る人が多いらしい。

 ああ、こんなところにも、妻や子供を持ったことがないロンリー独身男のハンデがあったとは。

※本連載は隔週木曜日「夕暮時」に更新します。本連載に関するご意見・ご要望は「besttimes■bestsellers.co.jp」までお送りください(■を@に変えてください)。連載第1~10回はnoteで公開中!

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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