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毎月いくらかかる?避けては通れない介護「お金」の話

【隔週木曜日更新】連載「母への詫び状」第三十一回

■医療費は?高額療養費制度を使うと…

 医療費についても知りたがる人は多い。

 両親の世話をするようになって、一番ありがたいと思ったのは、この医療費の安さだ。こんなにかからないのかと、驚くことが多かった。

 まず高額療養費の制度は、どのくらいの人が知っているのだろうか。ぼくは自分が病院の世話になった経験がなかったので、まるで知らなかった。

 高額療養費制度というのは、1ヶ月の医療費が一定の上限金額を超えたら、その超えた分を支給してくれる(払い戻してくれる)制度だ。年齢や所得によって、上限は細かく定められている。

 これもつい最近、平成30年の今年に制度が見直しされたため、以下に記す金額は当時の我が家の話である。

 

 母が入院をした。手術もした。いったい医療費はいくらかかるのかと心配したら、実質かかったのは月に4万4400円。1ヶ月まるまる入院しても、この金額でおさまった。

 たとえば、入院費や手術費が合計100万円かかったとする。母は75歳以上なので、負担するのは1割の10万円だった。これを病院の窓口で支払う。

 後日、高額療養費制度により、4万4400円の上限を超えた金額の5万5600円が支給される。何ヶ月、入院しても同じ。元の医療費が100万円でも、毎月の実質負担額は4万4400円にとどまる。

 残りの金額は国が払ってくれるのだから、ありがたい制度である。国に負担してもらいすぎだろうと思わなくもなかったが、そこはぼく個人がこれまで医者にかかったこともないのに何十年払い続けてきた健康保険の納付金が、親に使われたのだと思うことにして割り切った。

 これだけではない。両親は教職員の共済組合に入っていて、ここからも後日、お金が支給された。
 入院日数に応じたものだったか、あるいは医療費と介護費の合算による何かだったか、もう忘れてしまった。医療保険と介護保険の両方を利用する世帯には「高額介護合算療養費制度」というのがある。民間の生命保険も含めれば、とにかくいろんなところからお金が支給され、保険制度大国ニッポン、国家予算の医療費かかりすぎニッポンの、一端を垣間見る思いだった。

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夕暮 二郎

ゆうぐれ じろう

昭和37年生まれ。花火で有名な新潟県長岡市に育つ。フリーの編集者兼ライターとして活動し、両親の病気を受けて帰郷。6年間の介護生活を経験する。



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