ひるがえって2015年6月。政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」の会議を開催し、今後1年間に実施すべき「女性活躍加速のための重点方針2015」を決定しました。妊娠出産に絡む女性への嫌がらせ、マタニティハラスメント防止のための法整備に取り組むことが柱となっています。そこから2018年まで続くこのような政府の「女性が輝く社会づくり」は、いったい何を意味しているのでしょうか? 宮田真司さん教えてください! (「社会という荒野を生きる。」より

■何でそれが「女性向けの政策」になるのか説明しろ!

 

 久々に大爆笑しました。内閣官房は随分ヒマじゃないか! トイレが快適になれば女性が輝く? はっ? なんで「女性が」なの? 誰もが使うトイレだろ? 快適になれば男性も輝くぜ? 子供も輝くぜ? 馬鹿言ってんじゃないよ、内閣官房! 幾ら何でもヒマすぎるだろ。

 キャラ弁、ミッフィーやアンパンマンなどの顔をお弁当で再現するキャラクター弁当のことですが、だからなぜ「女性が」なの? キャラ弁作るお父さんだったら一層素晴らしいだろうが。なんでそれが女性政策になってるんだよ、内閣官房!

 もちろん母親がキャラ弁で愛情を表すこともあるでしょうよ。しかし父親がキャラ弁で愛情を表すことだってできるぜ。だったら何で弁当を女が作らなきゃいけないんだ、コラ……といった問題に切り込めよ、内閣官房! 後で言うけど、そこにポイントがあるんだろうが。

「待機児童を減らす」などは既に政策としてメニューに組み込まれているので、と内閣官房が姑息な言い訳をしている。だとしても、出てくるアイディアがこのショボさ。とてもじゃないが、言い訳にはならない。今、働く女性にとっての最大の問題が何かが、分かってない。じゃ、言おうか。

 第一は、総合職で働く女性たちの勤務が過酷すぎる現実。簡単に言えば労働時間が長すぎる。1日あたり労働時間は、日本が男性375分、女性178分。フランスは男性173分、女性116分[OECDによる。「Balancing paid work, unpaid work and leisure」]。男性で倍、女性でも1・5倍も長い。ドイツはフランスより長いけどそれでも日本よりずっと短い。

 第二に、その総合職に就いている女性が妊娠や育児などをするということになると、その人たちを救うためにという名目で、「一時的軽減措置」というメニューが最近の企業で提案されている。企業名は言いませんが、実際にはこれもお為ごかし。想像すりゃすぐ分かること。

 例えば、一度、一般職に配置転換されて、子育てが一段落したら、また総合職に戻れる仕組み。あるいは、名前は総合職なんだけど「特定総合職」、つまり、転勤がないとか、労働時間も一定枠内、という具合に条件の限定された総合職に就いて、やがて元に戻る仕組み。

 ところが、これらは利用する女性総合職の割合が少ない。理由は簡単。出世街道から横道に逸れる、つまり、昇進競争に乗り遅れるからなんだ。せっかく総合職で頑張ってきたのに、昇進が遅くなって後輩たちに抜かれると思えば、利用したくないのも分かる。

 こういう風になるっていうことは、諸外国の例から既に分かっていることです。であれは、やるべきことは、実に簡単。今まで通り総合職を続けながらも、自由に子育てができるように、「総合職そのものの労働条件を改善する」。いちばんなのは労働時間を短くすることです。

 繰り返すと、総合職の女性の妊娠や子育てに関する支援をしたい場合、総合職のままで支援しなければ、公正な制度として意味がありません。ところが、女性のためと称しつつ、総合職の女性に、オプション的に「一次的軽減措置」と称して、出世街道から逸らせる。あまりにも愚昧です。

 一見よいように見え、そう書いている馬鹿マスコミもあるが、こうして、マタニティハラスメントに数えられる「妊娠を理由に女性を降格させる」のと同じ機能を、女性が自分で選んだという口実で調達できるわけ。少し考えれば分かる。これを問題にしろよ、内閣官房!

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