振り込め詐欺「出し子」に堕ちた19歳を救え〈後編〉 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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振り込め詐欺「出し子」に堕ちた19歳を救え〈後編〉

もう戻る必要はない。自首をした少年は。

■自首をすすめる

 今、警察にいけば自首扱いになり罪が軽くなること。 

 少年院に行くかもしれないが、20歳を過ぎて逮捕されてしまえば前科になること(当時の新之助は19歳になったばかり)。

 彼を誘った先輩たちを裏切る形になることはとても怖いと思うが、今ここで縁を断ち切ることができなければ、一生使い走りになること。

勇気をもって反省してほしいこと。

 …どれぐらいの時間がたっただろうか。新之助は、自首、そして悪い仲間とは金輪際付き合いしないということを約束してくれた。

 

 新之助の話をまとめると、

 もともと彼は地元の先輩に、内装関係の仕事があると誘われ上京してきた。しかし、実際は内装の仕事などはほとんどなく、振り込め詐欺の「出し子」役をやらされていた。当の本人は日当が高い仕事、というくらいの認識しかなく、最初は自分が振り込め詐欺に手を染めているとは思っていなかった。5、6人で寮生活をおくっていたが、そこでは常にお互いが監視状態に置かれ、幹部役の人間には「君たちは、少年法で守られている」「捕まったら有能な弁護士をすぐにつける」「裏切者は死をもって償うしかない」などと言われ、洗脳状態にされていたようだ。

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神里 純平

1979年生まれ。沖縄県在住の会社員。

中堅のリサイクルメーカーにサラリーマンとして勤務し、会社内から出る産業廃棄物の収集運搬やグループ内の在庫移動の業務に従事する毎日。少年の頃には紆余曲折があったが、現在は友人たちと一緒に、仕事後や休みの日に子どもたちに格闘技を指導することがライフワークとなっている。好きな言葉は「人生一生雑巾がけ」。著書に『沖縄裏の歩き方』(彩図社)がある。


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