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行列日本一の焼肉屋が予約を取らないシンプルな理由

ハッとさせられた、浅草ふぐ屋女将の言葉

 

■『三浦屋』女将さんの言葉

 競馬で儲けた日は、まあ自分の金じゃないんだけどさ、その金を手にしたご機嫌の社長と浅草の場外馬券売り場から『三浦屋』って店まで歩いて、フグを食わせてもらったこの店のフグがまたうまいのなんの。当時からフグはごちそうだったしね。いい思いをたくさんさせてもらったよ。

 その『三浦屋』が絶対に予約を取らない店だった。聞けば昔からそのスタイルを貫いているという。僕も若かったからさ、こんなに人気だから予約取ればいいのにって疑問に思ったよ。だって客からしたら不便じゃない。

 だから、あるとき「なんで予約を取らないの?」って女将さんにストレートに聞いたの。そうしたら女将はこう言った。

「お客なんて予約したって時間通りに来ないし、だいたい1人か2人が遅れてくるから全員が時間通りに揃わないよ。予約のためにその前から席を遊ばせておくなんて勿体無いじゃない。その間に一回転しちゃうよ」ってね。

 僕はごもっともだなぁって感心したよ。

 その当時、僕は20代前半。スタミナ苑は今とは違って混雑するような店でもなんでもなかったけれど、その言葉が脳みそにこびりついてさ。

「僕の店がいつか人気店になったら、そのときは絶対に予約を取らないぞ」って誓ったんだ。それが現在のスタイルの原点。

 芸能人だって、政治家だって関係ない。それだったら、月に何回も来る人を大事にしたほうがいいに決まってるじゃないか。

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豊島 雅信

とよしま まさのぶ

1958年11月8日生まれ。東京都出身。兄の久博さんが母親と始めた『スタミナ苑』に15歳で加わり、肉修業がスタート。以来、ホルモン一筋45年!

毎晩、閉店後の深夜から、翌日に供する肉とホルモンの仕込み作業を朝方まで続ける。予約が取れない名店として広く知られ、時の首相や著名人、食通が通い続けて並ぶほど。新鮮なホルモンと肉の病み付きになった焼肉ファンが作る行列は、17時の開店2時間前から23時の閉店直前まで途切れることはない。1999年には、アメリカ生まれのグルメガイド『ザガットサーベイ』の日本版で、総合1位を獲得。2018年には『食べログアワード2018ゴールド』受賞。


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  • 豊島 雅信
  • 2018.09.27