■和歌をたしなむ花魁 

写真を拡大 図2『青楼美人合姿鏡』(北尾重政著、安永5年)

 図2は、花魁の部屋にほかの花魁たちが集まり、自由時間を過ごしているところである。

 ここでも、背後の書箱に注目しよう。

 右は『類題和歌集』、左は『古今類句』とある。

『類題和歌集』は、和歌を四季、恋などの内容で分類したもの。
『古今類句』は、下の句の頭文字をいろは順で分類した、和歌索引である。

 この部屋の花魁が和歌をたしなんでいることがわかる。しかも、その素養はかなりのもののようだ。

 吉原の遊女は禿のころから手習いをさせられていたので、みな読み書きができた。

 さらに向学心のある遊女のなかには自分から勉強を続け、古典を読んだり、琴を弾いたり、和歌を詠んだりできる者もいた。

 ただし、遊女は吉原の外に出ることは許されていなかったので、それぞれ一流の師匠を妓楼に招き、個人教授してもらった。

 師匠にしても、吉原の花魁を弟子に持つのは一種の見栄であったろう。

 吉原の花魁は幅広い教養を身につけていたが、これが宿場や岡場所の遊女とのもっとも大きな違いだった。