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あなたの生きづらさの正体は「隠れアスペ」にあるのかも。

生きづらい人生を変えるヒント

人前に出るとドキドキが止まらない。周りの人とギクシャクする。どんなに頑張っても自分に自信がもてない……こういった「生きづらさ」を常に感じていて、仕事や人間関係につまずきがちなあなた。そんなあなたは、「隠れアスペルガー」かもしれません。

「隠れアスペルガー」とは、発達障害カウンセラーの吉濱ツトム氏が著書『隠れアスペルガーという才能』(ベスト新書)の中で初めて提唱している概念です。アスペルガー症候群とは、広汎性発達障害の一種で、広い意味での自閉症の仲間。広汎性発達障害は、コミュニケーションの障害、対人関係・社会性の障害、パターン化した行動、興味・関心のかたよりを特徴とする「脳の器質的障害」です。その中で言語障害があるものが自閉症、言語障害も知能の遅れもないものがアスペルガー症候群とされます。

吉濱ツトム氏(撮影:赤城耕一)
 

 そのアスペルガーの条件に全部は当てはまらないけれど、確実にアスペの症状が出ている。そんなグレーゾーンに位置する人を、「隠れアスペ」と吉濱氏は呼びます。

 隠れアスペの人は、アスペルガー症候群だと明らかな人(「真性アスペ」)に比べて症状が軽く、周囲も本人も障害があるとは気づきません。むしろ、空気を読みすぎるくらい読んで、気配りを欠かさない優秀な人も多い。それなのに、本人はわけのわからない劣等感にさいなまれたり、過緊張に苦しんだりしていて、本来もっている才能や人間的魅力を発揮できないでいます。ある意味、「真性アスペより悩みが深いのが隠れアスペ」だと吉濱氏は言います。

 統計によると真性アスペは90~100人に1人ですが、隠れアスペは日本人の40~50人に1人と推計されます。だとすれば、日本全体で約300万人もの人が隠れアスペという計算になります。吉濱氏の見立てでは、なんと20人に1人くらいはいるのだとか。

 それほど多くの人が「生きづらさ」を抱え、社会で十分に活躍できていないのであれば、日本社会全体の大損失と言えるのではないでしょうか。

 では、隠れアスペの生きづらさを解消する方法は?

 それが、吉濱氏が行っている発達障害改善プログラムです。氏は、自身が重度のアスペルガーを克服した経験から、独自の改善法を編み出し、個人指導によって隠れアスペルガー人の9割を大幅に改善させています。ポイントは、徹底的に「物理的で化学的な方法」でアプローチすること。食生活の是正、栄養補給、生活リズムの改善、運動などで「肉体改造」することで、アスペの短所と言える症状は驚くほど軽減されるそうです。

 アスペの症状が抑えられると、今度は長所を伸ばすトレーニングを行います。アスペルガーと言えば、マイナス面ばかり取り沙汰されますが、実は非常に多くのプラス面があるのです。記憶力や集中力は抜群であり、IQも高い。真面目で責任感が強く、弱者に優しい。本書には、他にもアスペの長所が豊富に紹介されています。

 吉濱氏は、多くの長所をもつアスペルガー人を「けっして社会のお荷物などではなく、今後の日本社会を支える貴重な人材」だと言い切ります。その長所を適切な方向に向けることができれば、持ち前の才能が開花して、日本経済の救世主になるかもしれない、とも。

 自分自身が、あるいは職場の上司が、部下が、家族が、隠れアスペではないか――そう思ったあなたは、隠れアスペという新しい概念について、そしてアスペルガーの知られざる長所について、まず知るところから始めてみては? 生きづらい人生を変えるヒントが、きっと見つかるはずです。   

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吉濱ツトム

よしはま つとむ

発達障害カウンセラー

発達障害カウンセラー。幼い頃より自閉症、アスベルガーとして悩み、長期間にわたる「ひきこもり」を経験。悲惨な青春時代を歩むが、自ら発達障害の知識の習得に取り組み、あらゆる改善法を研究し、実践した結果、数年で典型的な症状が半減。26 歳で社会復帰。以後、自らの体験をもとに知識と方法を体系化し、カウンセラーとなる。同じ症状に悩み人たちが口コミで相談に訪れるようになり、相談者数は 2000 人を超える。現在、個人セッションのほか、教育、医療、企業、NPO、公的機関からの相談を受けている。著書に『アスベルガーとして楽しく生きる』(星雲舎)、『隠れアスベルガーという才能』(KK ベストセラーズ)、『発達障害に人のための上手に「人付き合い」ができるようになる本』(実務教育出版)がある。

 

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