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えっ…「だいじ=大切」じゃないの?栃木弁がややこしすぎる件

単語はそんなに変わらないけど、意味が違う。

■「おっかける」「うら」

「おっかける」という方言もある。これは、箸や皿などが割れたり欠けたりするときに用いるもので、「割りばしがおっかけちゃった」などと使う。これも日常的に使用していたが、他県民には「箸を追いかけてどうするのだろうか」と思われてしまうようだ。

「うら」という言葉も、標準語とは違う使い方をする。たとえば、車の後部座席にのってもらうときなどには「車のうらにのって」という。栃木県民は「うしろ」という意味で使用しているのだが、これも他県民にはなかなか通じないものだ。筆者の学生時代の担任は他県民で、栃木に赴任したばかりのときには、このうらの意味が理解できなかったそうだ。

 このように、標準語と同じ言葉を用いながら、意味は異なるものが意外と多く、方言とは気づかずに使っていた。

 また、栃木は無アクセント(イントネーション崩壊)地域といわれることがある。「橋」と「箸」のような同音異義語も同じイントネーションなので、単語だけではどちらの意味がわからない。前述の例なら文脈から理解しやすいが、「かきを食べた」という場合、「柿」と「牡蠣」、どちらのことを指しているのかわからないといわれる。

 現在はなまりも薄れてきて、こうした方言を日常的に使う若者は減っているかもしれない。エリアにもよるが、栃木出身の漫才コンビ、U字工事のような強いなまりで話すのは、お年寄りくらいになったとも感じている。

 しかし、栃木に帰るとやはり特有のなまりは残っていると感じるので、日光や那須などに旅行をするとネイティブな栃木弁にふれることができるはず。この無アクセントの方言は影響力が高く、しばらく会話をしていると次第に自分のイントネーションがおかしくなってくることがある。

 都会育ちの甥っ子が実家に遊びに来ると、なまりがうつることがあった。たった数日でも、ネイティブスピーカーとともに過ごすことで、次第と栃木弁のなまりになっていくようだ。もちろん、家に帰るころにはもとに戻るのだが、本人は気付かないほど自然になまり言葉を発していた。

 各地にはさまざまな方言があり、それぞれのお国訛りや方言と知らずに使っている言葉があることだろう。出身地が異なる人と出会ったときには、こうしたネタをつかみにすると盛り上がるかもしれない。

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