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「逆境には2種類ある」前田裕二の価値観を揺さぶったインドでの体験

SHOWROOM創業者・前田裕二さんインタビュー②

■30代のうちに「世界一の企業」を目指す

 

 前田さん自身の経験や想いをすべて注ぎ込んで生み出された「SHOWROOM」。今後の展望を聞いた。

「5年先の目標は3つ。ひとつは、国内におけるコンテンツの横展開です。現状SHOWROOMは、アイドルや声優といったいわゆるサブカルチャーに強いメディアなのですが、今後はお笑いや男性、バーチャルキャラクターなどさらにコンテンツの幅を拡大することで、より多くのクリエイターに向けてチャンスを作っていこうと考えています。起業家や作家、政治家などが目標達成までの過程を見せたり、ファンをつける際に使われるサービスになっても面白いかもしれません」

 2つ目はバーチャルキャラクター事業の充実。現在「SHOWROOM」では、同社初の3DバーチャルSHOWROOMER(配信者)・東雲めぐが人気を集めている。本人が顔出しでライブ配信をおこなうのが一般的だが、バーチャルでありながら人間の動きに連動し、声をあてる東雲めぐの登場によって、さらに配信者が増えていく可能性が示唆されている。

 

「とくに一般の人は、顔出しでの配信に高いハードルを感じている傾向があります。東雲めぐのようにバーチャルな人格を作ることができれば、容姿や年齢、性別、障害などの肉体にまつわる制約を乗り越えて、多くの人が自分の“本当の個性”を世界に発信できるはず」

 コンテンツの横展開や、バーチャルキャラクター事業を広げつつ、考えているのは3つ目の目標である世界進出。

「世界は、日本以上にさまざまな格差や制約が存在しています。これからは各国に存在するギャップを埋めていきたいと考え、実際に話を進めている国もあります」

 5年後の「SHOWROOM」は、世界中の熱量や個性が集まる、いい意味でカオスな世界が広がっているかもしれない。

 20代で名だたる起業家と肩を並べ、躍進を続ける前田さんだが「今の場所にはまったく満足していない」と語る。

「僕は経営者であり起業家なので、日本発の“世界一の企業”を本気で目指しています。願わくば、30代の10年のうちに『努力がフェアに報われる社会』を形にしたい。そうすることで、僕と同じような境遇を持った人も、努力次第で高みに登れることを少し信じられるようになるかもしれない。努力の強さを、身をもって証明していきたいと考えています」

 あくまで落ち着いた口調で「世界一」を語る姿がとても印象的だった。今後も、自身の中に静かに燃える闘志のすべて「SHOWROOM」に注ぎ、さらなる躍進を見せてくれるはずだ。

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前田 裕二

まえだ ゆうじ

SHOWROOM株式会社代表取締役社長

1987年東京生まれ。2010年に早稲田大学政治経済学部を卒業後、外資系投資銀行に入社。11年からニューヨークに移り、北米の機関投資家を対象とするエクイティセールス業務に従事。株式市場において数千億~兆円規模の資金を運用するファンドに対してアドバイザリーを行う。その後、0→1の価値創出を志向して起業を検討。事業立ち上げについて、就職活動時に縁があった株式会社DeNAのファウンダー南場に相談したことをきっかけに、13年5月、DeNAに入社。同年11月に仮想ライブ空間「SHOWROOM」を立ち上げる。15年8月に当該事業をスピンオフ、SHOWROOM株式会社を設立。同月末にソニー・ミュージックエンタテインメントからの出資を受け、合弁会社化。現在は、SHOWROOM株式会社代表取締役社長として、SHOWROOM事業を率いる。


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