■センターバックは“映画監督”

タケ
なるほど面白いですね。そんな感じでいくと、センターバックはどうなんでしょう。

ヒデ
そうだなあ…。センターバックは“映画監督”みたいなものかな。

タケ
ああ、それ分かります! 指をさして味方に指示してるとことか、メガホン片手に撮影指示してる監督にソックリです。

ヒデ
センターバックは全体を俯瞰できるポジションだからね。

タケ
だけどサッカーには監督がいるのに、それを差し置いてセンターバックが“監督”なんですか?

ヒデ
だってさ、プロの試合だと、試合中に監督の声はなかなかみんなに届かないでしょ。それじゃ、現場の指揮は執れないよ。僕のイメージとして、サッカー監督の仕事はもっとプロデューサー寄りで、試合中はセンターバックが現場の指揮官という感じ。

タケ
それってGKでもいいんじゃないですか? よく大声でしゃべってますよね、川島選手とか。

ヒデ
いいんだけど、フィールドプレーヤーに対して距離があるからね。話がしづらい。「集中しろ!」とか「切り替えろ!」とか「(ラインを)上げろ!」とか、だいたい一音節でカツ入れるのが限界。コーナーキックのときなら、もっと指示はできるけど、機会は少ないよね。それに比べると、フィールドプレーヤー同士はもっと近づいて、いろんな話をしているからね。GKはメンタル的な支柱、センターバックはブレイン的な支柱、そんな感じかな。あと、センターバックの個性は、チームのスタイルを左右するところもある。要は、チームがセンターバックの器を超えることができないんだよ。たとえば、岡田ジャパンのときに活躍した中澤佑二、田中マルクス闘莉王は、スピードがない空中戦タイプのセンターバックだけど、この2人を並べたときに、ディフェンスラインをどんどん上げて行くと、どうなると思う?

タケ
う~ん2人ともどっちかっていうとスピードよりパワータイプだと思うので、押し上げちゃうと振り切られそう……。

ヒデ
そうなんだ、まずセンターバックの裏のスペースが、すかすかに空くよね。そしてその状態でカウンターを食らったらどうなるか? スピードのないコンビでは大変。彼ら2人を置いた時点で、ディフェンスラインを高く上げる戦術を取りづらくなるんだ。センターバックの器を越えられない、というのはそういう意味だね。

タケ
なるほど、チームはセンターバックの個性に合わせて、戦術をとらなければいけないんですね。

ヒデ
バルセロナの例もわかりやすいんだけど、あれくらいパスをつなぎまくるチームが、足元のボール扱いが下手な選手をセンターバックに置いたら、もうコンセプトが破綻しちゃう。フィールドプレーヤーの中で最もミスが許されないポジションだし、チームと個人のずれがもっとも致命的な結果を生みやすいポジションでもあるんだ。

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