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「低賃金」「非正規」で買い叩かれる教員達

知ったかぶりでは許されない「学校のリアル」 第14回

 一般企業でも非正規の社員を増やす傾向にあるが、それは学校も同じなのだ。理由も同じで、賃金の安い非正規を増やすことで人件費を抑えるためである。

 公立学校の教員の賃金は3分の1を国が負担することになっているが、正規の教員を増やせば当然ながら国の支出も増える。これに対しては財務省が頑として抵抗していることが、正規の教員を増やすには高い壁となっている。

 ただし、1人分の正規教員の賃金で、非正規を2人雇おうが3人雇おうが自治体の裁量に任されている。学校現場の教員数を増やしたい自治体としては、正規を増やすよりも、その分で非正規を増やそうとする。非正規なら自治体独自でも雇えるのだが、安上がりに済ませようと考えているために十分な予算措置がとられない。

 こうして、非正規教員の低賃金が固定化してしまっている。ブラック化が進んでいるといわれる教員という職業、しかも低賃金の非正規への応募者が集まらないのは、当然すぎるくらい当然のことなのだ。

 それは、広島県でも分かっているはずである。知事が「由々しき事態」などと他人事のようにいっている場合ではなく、ほんとうに「由々しき」と思っているのなら、予算措置など具体的な案を示すべきである。そうでなければ、広島県にかぎらず、全国での教員不足は、ますます深刻な状況になっていくしかない。

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前屋 毅

まえや つよし

フリージャーナリスト。1954年、鹿児島県生まれ。法政大学卒業。『週刊ポスト』記者などを経てフリーに。教育問題と経済問題をテーマにしている。最新刊は『ほんとうの教育をとりもどす』(共栄書房)、『ブラック化する学校』(青春新書)、その他に『学校が学習塾にのみこまれる日』『シェア神話の崩壊』『グローバルスタンダードという妖怪』『日本の小さな大企業』などがある。


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