でも、平成の黒木瞳にはそれがないんです。太地喜和子はなにがあっても私があなたを守ってあげるわという目で田宮二郎を見守ってるんですよ。「大丈夫よ」って。でも、黒木瞳だと同じ「大丈夫」でも「大丈夫なの?」と言いたそうな目で見ているんです。ひと言でいうと、平成の愛人には母性がないの。

――確かにここ一連の愛人とか不倫関連の騒ぎを見てるとなんか「やったか」「やってないか」とかで問題になったりして、なんか殺伐としてますよね。

島村 落語家とか芸人が不倫して叩かれる時代になっちゃいましたからね。言葉もないですよ。

――いま、スケール感の話がありましたけど、世の中で起きる事件のスケールも小さくなったような気がしませんか。大久保清の連続婦女暴行殺人とか、三菱銀行人質事件とか、日本中を震撼させるような事件がなくないですか?

島村 いや、それは報道機関における事件の賞味期限が短くなったという話であって、起きてることはけっこうエグいですよ。

――ああ、確かにこないだ座間のほうで起きた自分のアパートで9人殺したという事件の続報とかもぜんぜん聞かないし、みんな興味がなくなっちゃったみたいですよね。

島村 でしょう。昔だったらもっと大騒ぎになってるはずなんです。例のロサンゼルス殺人事件の「疑惑の銃弾」ひとつで、どんだけ文春が引っ張ったか……。

――「人の噂も七十五日」って言いますけど、平成になってから明らかにその日数が減ったのは確かですね。いまじゃ「人の噂も二十五日」くらいでしょう。いま話題沸騰中の日大のアメフトのあれだって、一カ月後にはみんな忘れちゃってるんでしょうし。

島村 それにしても「もりかけ問題」の賞味期限の長さはなんなんでしょうね。私なんかとっくに飽き飽きしてるのにまだゴチャゴチャやってるでしょ。そのへんは一部勢力が強力な人工保存料使ってるのかなあ。

――なるほど、もりかけ(蕎麦)だけに。チクロとかサッカリンみたいな

「平成になじめなかった女」島村洋子さん