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「打倒中国」の条件はそろった。卓球女子、覚醒の予感。

4月29日~卓球世界選手権開幕。宮﨑強化部長に聞く、女子日本代表の現在地③

 

中国を倒すための条件

 中国を倒して東京五輪で金メダル。

 卓球界の合言葉のようになりつつあるこのフレーズ、しかし現実を見れば中国の壁は難攻不落で、とてつもなく高い。今大会の壮行会で平野美宇が「奇跡を起こせば中国に勝てる」と発言したことが報じられていたが、現状はそのくらいの見立てが適切だろう。

 しかし、それでも打倒中国の期待をかけたくなるのは、団体戦という和の力がプラスアルファをもたらす舞台であることと、このところ中国に勝利する選手が珍しくなくなってきているからだ。

頼もしき女子日本代表の面々。左から馬場美香監督、石川佳純、早田ひな、平野美宇、伊藤美誠。2018 卓球 チームワールドカップにて。
(写真:新華社/アフロ)

 石川佳純はずっと、中国のトップ10レベルの選手に勝てない期間が続いていたが、ここ半年で中国の6番目から10番目くらいの選手に何度も勝っている。

 伊藤美誠は丁寧に一度、勝った実績がある。また、昨年中国で修行した際に、中国リーグ二部の選手に14戦全勝。最近はトップ選手にも僅差の惜敗が多い。

 平野美宇が昨年のアジア選手権で連続撃破した3人は、今大会の代表でもある中国の看板選手ばかり。あの〝ハリケーン・ヒラノ〟が戻ってくれば、誰が相手でも恐れるに足らない。

 では、どうすれば平野美宇があの時のような「平野美宇Z」に変身するのか。私個人の仮説として3つの条件をあげたい。

1 集中力が高まる大きな舞台であること。

2 ベンチコーチに馬場美香監督が付いていること。試合中の戦術転換が得意でない平野にとって、戦術家の馬場監督がベンチにいるプラスは大きい。

3 大会の使用球が日本製のボールであること。極限まで速さを極めた平野美宇の卓球は、バウンドが均質とされる日本製ボールで、より生かされる。昨年のアジア選手権や世界選手権がそうだった。

 今度の世界選手権は、1と2を満たす。3の使用球も日本のメーカー「バタフライ」の中国製ボール。半分は条件をクリアする。

 平野美宇がハリケーン・ヒラノになり、伊藤美誠が独創的な変則卓球を駆使して中国を惑わせ、進化した石川佳純が実力をぶつければ、中国の壁が揺らぐ瞬間を目撃できるだろう。

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田端 到

たばた いたる

1962年生まれ。週刊誌記者を経てフリーのライターに。競馬、野球を中心に著書多数。趣味は五輪競技アスリートのSNSを観察すること。卓球は17年アジア選手権と18年グランドファイナルを現地観戦。


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