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会社からまっすぐ帰宅しない「フラリーマン」、精神科医はその心理についてどう考えるか

精神科医・水島広子先生に聞く、なぜフラリーマンは生まれてしまうのか?

育児を通した夫婦関係について、「夫」目線で考える本特集「『イクメン』って結局なに?」。前回の記事では、仕事が終わってもまっすぐ家に帰らない「フラリーマン」の心理について、聞き取り調査をもとに考えた。
続いて、フラリーマンを生んでしまう理由、そして、フラリーマンをどのように救うかについて、書籍『対人関係療法で改善する夫婦・パートナー関係』(創元社)の著者である精神神経科医師の水島広子先生にお話を聞いた。

■夫婦はお互いに、一人の時間を尊重し合うべき

 

 家庭内で悩みやストレスがあった時、ママ友や自分の母親などに愚痴を言える妻。一方で誰にも何も言わず一人で我慢しがちな夫。水島先生が実際に今まで見てきた夫たちの多くは、ドライブに出たり、ゴルフの打ちっ放しに行ったりするなど、家の中に解決を求めないで、外で気晴らしをすることで、気持ちを紛らわしている人が多いそう。

 それに関連し、働き方改革後の昨今、キーワードとなっているのが“フラリーマン”だ。彼らは、会社帰りにまっすぐに帰宅せず、どこかにフラリと立ち寄って自分だけの気ままな時間を過ごす。よって仕事は早く終わっていても帰宅時間は以前とあまり変わらない。それがまた妻の不満の原因になりかねないというわけだ。
「フラリーマンは、女性にだって当てはまると思います。誰が家を仕切っているか、家庭の支配者が誰かによって、帰りたくない方は変わると思いますよ。実際男性の中には、自分の時間はトイレの中で新聞を読む数分だけ、という人って結構いるのです。誰だって自分の時間は欲しい。だからフラリーマンを頭ごなしに否定してしまうのは可哀想です。うちに帰ったら絶対的な支配者が仕切っていて、どこかにカバンを置こうものなら“そこ、さっき拭いたばかりなのに!”などと怒られたりするのだったら、やっぱり帰りたくなくなりますよね(笑)」と水島先生は話す。

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水島 広子

みずしま ひろこ

精神科医、対人関係療法専門クリニック院長。慶應義塾大学医学部卒業、同大学院修了。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、二〇〇〇~〇五年衆議院議員を務め、児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。著書に『トラウマの現実に向き合う』『女子の人間関係』など多数。


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  • 広子, 水島
  • 2011.12.22