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「あきらめちゃ、だめじゃない?」苦悩する鹿島のキーマン内田篤人

名門・鹿島アントラーズの低迷。ベテランとなって帰ってきた内田篤人の思い

■サイドバックはこういう展開だと厳しい(笑)

 

 内田はある種、淡々と現実について語った。その言葉は厳しい。それは誰かを責めるというよりも、自身へのメッセージでもあるように思えた。

「サイドバックはこういう展開になるとなかなか難しい。(追加点を狙い)前へ行ったらカウンターをくらうし。どうしても受け身になる。やれることが限られちゃうね、難しいゲームになればなるほど。そういう地味なポジションなんですよ(笑)」

 そう語った言葉の響きは軽快にも感じたけれど、いかにチームへ影響力を与えられるかという意味での内田の苦悩が感じられもした。

 プレーで示すという意味での、ピッチの右サイドに立っている自身の限界。ベテラン選手にひっぱられていた過去とは違う。4冠をめざすチームの大型補強と言われた現在の内田篤人に課せられた任務、期待は彼自身がもっとも理解しているはずだ。

 苦境に立つチームの一員、そして、ベテランとして、ただじっと「我慢」しているわけではないだろう。新しい試練はまた内田篤人を鍛えてくれるに違いない。

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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