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テクノロジーの進化は多くの「モノ」をなくし、人間を幸せにする

識者に聞く、2040年のモノとわたしたちの生活〈後編〉

■テクノロジーの時代を生きるために必要な力 

これからは「“薄く広く”知識を知っておくことが重要」と語る齋藤和紀氏 (写真:今井裕治)

 そういったテクノロジーが高度に発達するこれからの時代に、求められる力はなんだろうか。

「経営者の方々と話していても、『テクノロジーの影響を理解できないといけない』と多くの方がおっしゃいますね。ただしこれは、一つの技術分野を極めるといよりも、多くのテクノロジーを俯瞰する力を意味します。例えば、『ネットワークコンピューティングとナノテクが組み合わさったらどう社会を変えていくのか』ということを理解できるような力です。言い換えれば、“薄く広く”知識を知っておくことが重要でしょう。我々はそれをエクスポネンシャル思考と呼んでいます」

 いずれにしても、技術の発展を不安に思う必要はないようだ。

「そもそも我々が仕事だと思っている部分の多くが正確性や速度を求められるものなど、ロボットが得意とするところ。これまでの仕事がなくなるなど、短絡的には悲観的になる可能性もあるかもしれませんが、技術の進歩は人類を幸福にしています。歴史をさかのぼれば、例えば奴隷制度のようなものもあり人間は相当時間過酷な労働を強いられていたわけですし、もっと遡ればその日生きていくことに精一杯の時もあった。我々の親の世代も『モーレツ社員』などといって、今では完全にブラックな働き方もしていました。時代が進むにつれ人間の生活は確実に良くなってきていますし、今後もテクノロジーの進歩にともなってよくなっていくと思います。そういった変化に対し、我々はポジティブに捉えるべきでしょう。むしろ、自分たちがどう未来を作り出すのか、すなわち“どうなるか”というよりも“どうしたいか”を考えていったほうがいいでしょうね」

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