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評論家・宇野常寛が見た「2018年の大学生」

宇野常寛さん3月毎日更新 Q21. 「今の大学生に感じることは?①」

「BEST T!MES」連載30問30答、3月は宇野常寛さんを特集! 自ら企画ユニット『PLANETS』を主宰、近年はメディアでの活躍も増える中、評論家として最新作『母性のディストピア』が大ヒット中。多彩な活動を続ける彼の「素顔」に30の質問で迫ります。

「大学生のコスプレをしている大学生」が多い印象ですね

 

 今の大学生って、僕が大学生だったのときと変わっていないと思うんですよね。それは悪い意味で。特に知的でイケてる大学生は「馬鹿なふり」をしないといけない文化がいまだに強いじゃないですか。例えば、ウェイウェイ騒がないといけないみたいな。ああいうのって、80年代に作られたものなんですよ。そもそもは、上の世代へのカウンターとして僕が子どもの頃の時代に作られたものだった。それなのに、ある時期からカウンター精神などを忘れて本当の馬鹿になっちゃったんです。ちょうど、僕が大学生になった頃ってその文化が衰退し始めた頃だったと思いますが、衰退していくなかで、それに代わる学生のカルチャーはできなかった。

 

 僕は大学で講師もしていますが、今の大学生たちに教えていて思うのが、「大学生のコスプレをしているような大学生」が多すぎるということ。本気でそれを楽しいと思っているわけではないけども、「大学生ってそんなもんだろう」と思って過ごしているということですね。本当は「授業なんて単位さえ取れればいい」と思っているのに、とりあえず授業には真面目に行く。そこまで楽しいわけじゃないのに、メインの人間関係が学校内にしかないからサークルに行っている。あとは「大学生だから何かアルバイトしなきゃ」と思って、そんなに興味がないアルバイトで働いている。

〈明日の質問は…… Q22.「今の大学生に感じることは?②」です。〉

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宇野常寛・著母性のディストピア

 

宮崎駿、富野由悠季、押井守--戦後アニメーションの巨人たちの可能性と限界はどこにあったのか?

宮崎駿論4万字、富野由悠季論10万字、押井守論10万字の作家論を中核に、アニメから戦後という時代の精神をいま、総括する。
そして『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』――現代のアニメ・特撮が象徴するさまよえるこの国の想像力はどこにあるのか?

『ゼロ年代の想像力』『リトル・ピープルの時代』とその射程を拡大してきた著者の新たな代表作にして、戦後サブカルチャー論の決定版。

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宇野 常寛

うの つねひろ

評論家。1978年生。批評誌〈PLANETS〉編集長。著書に『ゼロ年代の想像力』(早川書房)、『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)、『日本文化の論点』(筑摩書房)、『母性のディストピア』(集英社)。石破茂との対談『こんな日本をつくりたい』(太田出版)、『静かなる革命へのブループリント この国の未来をつくる7つの対話』(河出書房新社)など多數。企画・編集参加に「思想地図 vol.4」(NHK出版)、「朝日ジャーナル 日本破壊計画」(朝日新聞出版)など。京都精華大学ポップカルチャー学部非常勤講師、立教大学社会学部兼任講師など、その活動は多岐に渡る。


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  • 宇野 常寛
  • 2017.10.26