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【欧州組の現在地】酒井高徳が感じた差。「レバンドフスキだけを見ていたらやられてしまう」

ハンブルガーSVが立たされた再びの苦境

■レバンドフスキだけを見ていたらやられてしまう

「出ばなを挫かれ、相手に好き放題やられてしまった。僕らは3バックで、両MFが守備にまわり5バックで守っているはずなのに、DFの前後をふたりの選手で囲んだりするミュンヘンの選手のほうが多いようにも感じ、どう守備をすればいいのかわからない状態が続いた」

 酒井はペナルティエリア内での守備に奔走。日本がW杯で対戦するポーランド代表のエース、レバンドフスキとのマッチアップシーンが自然と多くなった。

「レバンドフスキは高い技術力があるし、得点を獲りに行くというところでの迫力もすごい。ただ、レバンドフスキだけを見ていたら、『やられてしまう』という感覚しかなかった。レバンドフスキひとりではないということ。次から次へと選手が裏へ飛び出してくるから」

 失点の原因を酒井ひとりに負わせるのは酷だ。

 

 バイエル・ミュンヘンはマイボールにしてから、シュートまでのスピードが速い。ロッペンとリベリという、スピードと技術を兼ね備えた選手が両サイドから突破を試みる。ドリブルだけでなく、パスやクロスボールの精度は相変わらず高い。19分のレバンドフスキのこの日2得点目のシーンを酒井が振り返る。

「手を伸ばし、レバンドフスキを触ることで、彼がどこにいるのかを確認していた。クロスボールが上がったとき、レバンドフスキが一歩下がった。本来なら相手との距離を確認し続け、摑んで離さないようにすべきだったのに、一瞬、僕の足が止まった。そのタイミングで、クロスボールが落ちてきて、ボールとかぶるような形で、うしろにいたレバンドフスキに決められてしまった。レバンドフスキは本当に駆け引きが上手。いまさらですけど、ミュンヘンには、素晴らしい選手がそろっていると感じた。
 どのタイミングで向こうが点を獲りに来て、そのタイミングで、僕らは得点しようとするプレーを阻止しなくちゃいけない。そういうところで、向こうが上回っていた。圧倒され続けた試合でした」

 レバンドフスキ3得点、リベリが2得点、そしてロッペンのゴールで、6-0と完勝したミュンヘン。今季も2位との勝ち点差20ポイントと独走している。
 かたや大敗のハンブルガーSVは入れ替え戦にまわる16位マインツとのポイント差は7ポイント。
 厳しい戦いが続くなかで昨季残留を支えたキャプテンの復活が欠かせない。

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寺野 典子

てらの のりこ

1965年兵庫県生まれ。ライター・編集者。音楽誌や一般誌などで仕事をしたのち、92年からJリーグ、日本代表を取材。「Number」「サッカーダイジェスト」など多くの雑誌に寄稿する。著作「未来は僕らの手のなか」「未完成 ジュビロ磐田の戦い」「楽しむことは楽じゃない」ほか。日本を代表するサッカー選手たち(中村俊輔、内田篤人、長友佑都ら)のインタビュー集「突破論。」のほか中村俊輔選手や長友佑都選手の書籍の構成なども務める。


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