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なぜ日本人はかくも「紙」にこだわり続けるのか?

30年間で文房具はこんなに変わった〈後編〉

わたしたちの身の回りにある「モノ」は、どう変わってきて、そしてどう変わるのか――。特集「2040年のモノ」、今回取り上げるのは、文房具だ。30年前から現在までの変化はどうか。前編では、「書くモノ」を見てきた。ここでは文字を写し取る「書かれるモノ」を見ていく。〈前編『「消えるボールペン」はスタンダードになるか』に続く後編〉

■支持され続けるキャンパスノート

学生時代、誰もがお世話になったであろう「キャンパスノート」

 1975年に販売を開始したキャンパスノート(コクヨ)は、過去83年、91年、2000年、11年とモデルチェンジを行ってきた。外観はほぼそのままだが、中のレイアウトが変わった。かつては幅7ミリのA罫、6ミリのB罫だったものが、5ミリ、8ミリ、10ミリ、方眼などの罫も生み出された。ただし、英語用の罫線は、昔からあった。

 最近になって登場したのは、ドット罫や文章罫、図表罫である。とくに支持を集めているドット罫は、2008年に発売された太田あや『東大合格生のノートはかならず美しい』(文藝春秋)に合わせて発売され、ブームになった。東大生のように、美しくノートをとるにはどうしたらいいかということを追求していく中で、文字の大きさに合わせてドットを入れるというしくみが編み出されたのだ。

 さらには、「大人キャンパス」と呼ぶキャンパスノートも出現。黒や紺といったビジネス感あふれる表紙デザインが支持を集めている。「デキる大人はノートを使い分けている。」というキャッチコピーで、TPOに合わせた罫線を提供している。

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小林 拓矢

こばやし たくや

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。フリーライター。単著『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)、共著に首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(ともにSB新書)など。


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