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那須大亮さん、梅崎司さん……移籍に思うこと。遠藤航「世界への大航海」

浦和・遠藤航連載第25回

■もう一度一からやっていきたい。梅崎司さんの言葉

 

 一番、移籍について話しをしたのが梅さん(梅崎司)だったかもしれません。何クラブからもオファーがあった梅さんはそのひとつに湘南があったことで、どんなチームなのかということを熱心に聞いて来ました。尊敬する先輩に「お前は頼れるから」と思いがけない言葉をもらい、本気で相談をしてくれたことは、違うチームになる寂しさもある一方でちょっとうれしかったりもしました。

 ただ「競争」を求めていた梅さんにとって湘南はうってつけのチームなんじゃないか、とも感じました。湘南というチームは曺さんの色がとても強いチームです。単純に言ってしまえば、若手、ベテランを問わず誰もが成長できる環境があります。前の試合にスタメンで出ていた選手が次の試合でベンチ外になる、なんてことがあるくらい競争意識を煽られます。それだけ、フラットに選手を見ているのです。

「湘南に行って競争をして、もう一度、1からやっていきたい」

 梅さんの言葉に曺さんのやり方は響くんじゃないかなと思います。

 他にも期限付きでコンサドーレ札幌に移籍した駒井善成は同じタイミングでレッズに来たので昨シーズン終盤になかなか試合に出られなかったのは苦しかったと思うし、よく話をしてくれた高木俊くんは悩んでいたし、残ってくれると思っていたんですが、最終的にはチームを離れる決断をしました。

 移籍という大きな決断をした彼らに負けないよう、僕もこれからしっかりと戦いの準備をしていきたいと思っています。

 ちなみに僕自身、湘南からレッズに移籍をしてきた経験があるから分かるのですが、「別れ際」はけっこう、さらっとしています。移籍に対して「感動的な言葉はないか」と聞かれると困るくらい(笑)。湘南はそれでも曺さんの熱い言葉があるファミリー的な部分がありますが、中国へ移籍したラファはみんなの前でちょっと話をして「じゃあね」みたいな声を掛けたのが最後でした。

 でも、それもこのプロの世界で生きていく厳しさや、明日は敵か味方か分からないような世界に生きていることを知っているからこそ。一緒にプレーできたことに感謝しつつ、負けないように頑張っていくしかないと思っています。

遠藤航「世界への大航海」第25回】

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遠藤 航

えんどう わたる

浦和レッズ

1993年2月9日生まれ。神奈川県横浜市出身。

2008年に湘南ベルマーレユースへ加入すると、2010年には2種登録選手としてJ1で6試合に出場し1得点。翌年に、正式にトップチームへ昇格、主にセンターバックとして活躍する。各年代の日本代表にも招集され、リオ五輪を目指すU-23代表では主将を務め、リオ五輪代表出場権を勝ち取った。2016年シーズンより浦和レッズに移籍。



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