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井口資仁「引退試合、最終回、同点2ランホームラン」第3打席での伏線

井口資仁監督に聞く。Q26. 現役時代の忘れられないシーンベスト3を教えてください(3/3)

■劇的ホームランの伏線「第3打席」

 ベストシーンと言えるのは、そういうチャレンジをしていったなかで本当に想像通りのことができたからです。まさかあれだけの場面(9回裏の第4打席で同点2ランホームラン)で打てるとまでは想像しなかったですけど(笑)。
 実はその第4打席はもちろん、その前の6回裏の第3打席から「ホームランを打ちたい」と狙っていました。結果は三振だったのですが、手ごたえを感じていたんです。

 第3打席。初球に打ったライト方向への大きなファール。右へスライスしていくのではなくて、真っ直ぐに飛んで行ったその当たりは、ファールとはいえ、自分にとっては理想の打球でした。
 ファールになってしまったのは、実戦から離れていて少しタイミングがずれてしまったため。だから、第3打席では、右中間のスタンドを狙っていたのですが、第4打席では、その狙いをバックスクリーン方向に変えました。そうすれば、今度は右中間へ飛んでくれるんじゃないか、と。

 あのホームランは狙い通りの一打だったんです。

 試合後のセレモニーでは、ビデオメッセージに登場してくれた面々……中でも川崎宗則などが笑わせてくれた。泣きそうだったか、と聞かれたのですが、前々から引退を決めていたので正直、ウルっとくるようなシーンは訪れませんでした。
 ただ後日、インターネットでおそらくファンの方が撮影してくれたであろう動画で、スタンドの生の歓声を聞いたり、ファンの方が泣いてくれているシーンを見たりすると、ジーンと来ましたね。
 本当に良い引退試合ができたと今でも感謝しています。少しクサい言い方ですが、野球の神様はいるんだなと思いました。

明日の質問は… 「Q27.プロ野球選手とはどうあるべきだと考えますか?」です。

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井口 資仁

いぐち ただひと

1974年12月4日生まれ。東京都田無市(現:西東京市)出身。千葉ロッテマリーンズ監督。97年逆指名で福岡ダイエーホークス(現:ソフトバンクホークス)に入団。走攻守三拍子揃った選手としてレギュラーとして活躍する。2005年にはシカゴホワイトソックスに入団。ワールドチャンピオンに二度輝く。その後、09年に千葉ロッテで日本復帰。昨年現役引退を発表。


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