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「走る」意識が強いチームのメリット。井口資仁の千葉ロッテ改革

井口資仁監督に聞く。Q18.「走る」というキーワードにこだわる理由は?

「BEST T!MES」連載30問30答、2018年最初に登場するのは2017年の雪辱を期す千葉ロッテマリーンズの新監督・井口資仁氏。本連載で「走る」ことの重要性を再三指摘しているが、その理由とは?

■改革したい「環境」と「意識」

 これまで走る意識が薄かったのは「環境」の問題があると思います。
ひとつは戦略としてそこを重視していなチーム作りをしていた部分があったのは事実だと思います。
 もうひとつは「チャンスがあれば二塁を陥れてやるという意識がない」ことも影響していたのではないかと思います。

 そもそも「盗塁しよう」という選択肢が頭にない。だから、ベンチで自分なりのスタートのタイミングを計ったりしているような選手もいない。ただサインが出た時のみ、そのサイン通りに走るだけ。そういう環境だったわけです。

 だから今年のオープン戦では、盗塁を含めた積極的な走塁にトライしてもらいたいと思います。ドンドン盗塁にも挑戦してほしい。
 ただ、シーズンが始まったら話は別です。シーズンでも同じように走りたいのであれば、そのオープン戦で、ドンドン挑戦した上で「結果」を残してアピールしてもらわないと。いつでも盗塁していいというグリーンライトは、選手にすべて任せるという意味ですからね。シーズンでもその権利が欲しければ、僕らを信用させる。そんな選手の姿勢を期待しているし、僕らはそのための環境づくりをしていきたいと思います。

 

 足には、不調がありません。それに、どんなに努力しても、いきなり打率が3割を超えるほどヒットを量産したり、ホームランを30本以上打てるようになったりはしません。でも、盗塁に関しては、意識の変革と、研究という努力によって、割と即効的に成果を得られるのです。

 そして、これは僕の経験上の話でもありますが、盗塁で結果を残すことによって、他のプレーにも好影響を及ぼすことが多いように思います。
 まず単純に走塁練習をすることによって体にキレが出てきます。また、本人の中で、「塁に出よう」という意識がより明確になります。もちろん、打つことは大事ですけど、打たなくても塁に出る工夫をするようになるのです。

 そして相手バッテリーに、「塁に出したら厄介だな」と思わせたらこっちのもの。相手はフォアボールだけは避けようと考えるので、どうしても甘いボールが来る機会が多くなる。結果として、打率も上がるわけです。
 逆に、塁に出しても怖くないバッターだと思われたら、相手は「最悪フォアボールでもいいや」と厳しいコースを突いてきます。
 盗塁一つだけで、ここまで影響があるわけなんです。盗塁、走塁に高い意識を置いた野球。今年のマリーンズは、足を使った野球に注目してください。

〈明日の質問は…「Q19. この選手はすごいと思い、刺激を受けた選手はいますか?」です〉

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井口 資仁

いぐち ただひと

1974年12月4日生まれ。東京都田無市(現:西東京市)出身。千葉ロッテマリーンズ監督。97年逆指名で福岡ダイエーホークス(現:ソフトバンクホークス)に入団。走攻守三拍子揃った選手としてレギュラーとして活躍する。2005年にはシカゴホワイトソックスに入団。ワールドチャンピオンに二度輝く。その後、09年に千葉ロッテで日本復帰。昨年現役引退を発表。


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