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「相手次第」ではなく「自分次第」川崎Fのサッカーが覇権を得た理由

中村憲剛選手12月毎日更新 Q24 攻撃的なポゼッションサッカーを志向する川崎フロンターレですが、苦戦すると言われている引いて守りを固める相手の攻略法は?

Jリーグ王者となった川崎フロンターレといえば、攻撃的なポゼッションサッカーが持ち味。一般的に引いて守りを固める戦術に弱いと言われているこのスタイルで、なぜ川崎は常勝軍団となり得たのか? 中村憲剛選手にお話を聞きました。

川崎のサッカーの肝は「イメージの共有」

 そもそも、引いて守りを固めてくる相手に苦戦しているという意識が、今はないかもしれません。確かに以前は苦戦していたかもしれませんが、今シーズンのことで言えば、どこもまず守備を固めてきましたよね。今では、このサッカーをチームとしても体得してきたので、大抵の相手に対しては崩せたという自信は持っています。

 確かに何試合かは、得点を奪えずに終わった試合もありますが、そこは相手うんぬんではなく、自分たちのコンディション次第。一番大きいのは、頭の中のストレスであったり、その日の状態がどうかというのが影響していたように思います。

 サッカーは相手がいるスポーツなので、お互いに準備してきたことが狙いとして出ることもありますが、だいたい僕らが試合で苦戦するのは、自分たちの動きがないときであったり、技術の質が低いときが多かったように感じています。もちろん、自分たちが考えていた以上に相手が頑張ったり、頑張り切られた試合もありますけど、それも夏場を過ぎてからは、相手の守備がいかに堅かろうが、密度があろうが、崩せるときは崩せていた。
 また、たとえパスワークで崩せなかったとしても、サイドからクロスを入れるなど、チームとして攻撃のバリエーションを持てるようにもなりました。あの手この手と対応できるようになったところも、成長ではないかと思うんです。

 それは、いい意味で、選手個々が柔軟に対応できるようになってきたというか、みんなが相手を見られるようになってきたことが大きい。

 

 そうしたシーズンを送ってきたからこそ感じているのは、このサッカーを続けていくには、人を育てていかなければならないということ。「イメージの共有」ができなければ、相手を崩すことはできない。そして、その「イメージの共有」のベースとなるのは、やはり“技術”と“眼”なんです。だからこそ、その技術と眼を養っていくこと、もしくは養われている人を加える必要があると感じています。

明日の質問は…〈Q25 今シーズンのチームが成長したと感じるところは?〉です。

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中村 憲剛

なかむら けんご

プロサッカー選手。川崎フロンターレ所属(背番号14)。

1980年10月31日生まれ。東京都小平市出身。6歳のときに府ロクサッカークラブでサッカーを始め、小金井第二中学校、都立久留米高校、中央大学を経て、2003年に川崎フロンターレに加入。2016年、歴代最年長の36歳でJリーグアウォーズ最優秀選手賞を獲得。プロ15年目を迎えた2017年現在も、チームの中心選手として活躍中。


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