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養子の「自己肯定感」はむしろ高い

「セックスワークサミット2017秋 」第2部レポート 後編

養子の自己肯定感

 養子についてのおもしろい調査があったのでご紹介します。養子というとどこかまだ「かわいそう」というイメージがあるかもしれません。日本財団が昨年行った養子として育った子どもの自己肯定感の調査と、内閣府が全国の中三生に対して行った自己肯定感の調査があるのですが、両者を比較すると「自分を大切だと思うか」という問いに対して、養子の28.3%が「そう思う」と答えています。中三生全体は12%です。養子の方が、2倍近く自分に満足していると答えている。

 なぜこういう結果が出るのか。養子だと、小さい時から真実告知をする必要もありますし、親が「愛している」ということを言葉にして伝えていく必要がある。あなたとお父さんお母さんは血はつながっていないけれど大好きでかけがえのない存在だよ、ということを、折に触れて生活の中で言葉にして伝えているからではないでしょうか。日本人はシャイであまり言葉にしないところもありますが、真実告知に紐付き日頃からコミュニケーションの中でそういったことを言葉で伝えることによって、子どもの自己肯定感の高さにもつながっていると考えられます。養子は決してかわいそうな存在ではなく、親からも愛されて、自分自身を愛することもできているというひとつのエビデンスと言えるのではないでしょうか。

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「セックスワーク・サミット2017冬 「つながる風俗女子」+シンポジウム「みんなでつくる『適正風俗』」(主催:一般社団法人ホワイトハンズ)が、2017年12月3日(日)に、東京都渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターにて開催されます。

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坂爪 真吾

さかつめ しんご

1981年新潟市生まれ。一般社団法人ホワイトハンズ代表理事。東京大学文学部卒。



新しい「性の公共」をつくる、という理念の下、重度身体障害者に対する射精介助サービス、風俗店の待機部屋での無料生活・法律相談事業「風テラス」など、社会的な切り口で、現代の性問題の解決に取り組んでいる。2014年社会貢献者表彰、2015年新潟人間力大賞グランプリ受賞。著書に『セックスと障害者』(イースト新書)、『性風俗のいびつな現場』(ちくま新書)、『はじめての不倫学』(光文社新書)などがある。


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