日本人は「ロヒンギャ」を自分事にできるか |BEST TiMES(ベストタイムズ)

BEST TiMES(ベストタイムズ) | KKベストセラーズ

日本人は「ロヒンギャ」を自分事にできるか

【ロヒンギャ】を根本敬氏が徹底解説3/3

「今さら聞けない」ニュースのキーワードについて、「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが第一人者の先生たちに話を聞いていきます

「ロヒンギャ」問題は昨日今日に始まった話ではない

トオル…僕が不勉強なだけかもしれませんが、ロヒンギャ問題って最近とくによく耳にするようになった気がします。

根本…ここ5年の中で木造船の漂流事件もありました。去年の10月には一部のロヒンギャが武装襲撃事件を起こしましたが、それに対する軍による100倍くらいの報復があったので数万人がバングラデシュに逃げています。そして、今回はもっと大規模な弾圧を受けて60万人以上が難民として逃げています。

 しかし、ロヒンギャ問題はそんなここ数年に起きた話ではありません。根は深く、イギリス植民地期に要因を求めることも可能です。1970年代と90年代にも20万人以上の大規模な難民問題が起きています。歴史の中で常に虐げられている存在だったわけです。

トオル…そうなんですね。

シズカ…1970年代からロヒンギャ難民がいたとは知らなかったわ。その時はまだ生まれてないけど、90年代の時はリアルタイムでニュースを聞いていたのかしら。

根本根本的にメディアがこの問題を継続して追っていないという問題があります。以前の難民問題で報道されなかったわけではないんですよ。90年代の大規模な難民の時には国際社会が大騒ぎしました。日本国内でも報道されています。しかしその後が続かなかった。

トオル…たしかに。政治の問題も話題が短期間でコロコロ変わるよね。

根本…例えば、大手の新聞社は人事異動で45歳になるとデスクになって現場から離れ、一方、現場には常に新人が入り、ロヒンギャのことは先輩から後輩に伝えられていない。そして、国際社会で問題になっているからと慌ててニュースにすると、さも今難民問題が始まったように書く。私のもとにも多くの記者さんが取材に来られましたが、一部の例外を除いてロヒンギャの「いろはのい」から説明する必要がありました。

トオル…うっ、それってまさしく今日の僕達…。

シズカ…私たちももっと前から知っておかなくてはいけない情報だったのに、反省だわ。

 
次のページ局所的、一過性のメディア報道の問題点

KEYWORDS:

オススメ記事

根本 敬

ねもと けい

1957年(昭和32年)生まれ。国際基督教大学大学院比較文化研究科博士後期課程中退。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所教授などを経て、上智大学外国語学部教授。専攻、ビルマ近現代史。


この著者の記事一覧