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西郷隆盛と島津久光、不仲の理由

西郷隆盛、その生涯と謎を追う ~謎多き人物像~

「西郷は幼児の頃から人間に対して異常なほど愛情の深い人でした。だからこそ、自分を認めてくれた斉彬を深く敬愛し、その先進的な考えに傾倒していったのです」。
 西郷のそうした性格が斉彬の死後に殉死を考えたことや、将軍後継問題を通じて信頼し合っていた僧の月照(げっしょう)と心中を図るといった行動をとらせている。斉彬に傾倒した反面、その死後に薩摩藩の実権を握った久光とは徹底して反りが合わなかった。斉彬の成し得なかった幕府政治の改革に乗り出した久光が、西郷にはどうしても器量不足に見えたのである。

「何でも自分で決める“独決”のきらいがある西郷を、使いこなせるのは自分だけと、斉彬は言っていました。西郷のその気質も久光と合わなかった一因でしょう。その結果が2度の遠島でした」。

『一個人』2017年12月号「幕末・維新を巡る旅」より構成〉

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原口 泉

はらぐち いずみ

鹿児島大学名誉教授

志學館大学教授



鹿児島県立図書館館長。東京大学文学部国史学科、同大学院博士課程を修了。専門は日本の近世・近代史。NHK大河ドラマ「翔ぶが如く」「篤姫」「西郷どん」の時代考証を担当。『西郷どんとよばれた男』(NHK出版)『西郷隆盛53の謎 知っているようで知らない「せごどん」の真実』(海竜社)など著書多数。


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