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ママ達は過労死寸前「ワンオペ育児」の現状

【ワンオペ育児】を藤田結子氏が徹底解説1/3

社会の矛盾が生んだ「ワンオペ育児」の深刻化

シズカ…夫婦の家事分担の不平等は昔から言われていたことだけど、それが「ワンオペ育児」として問題になっているのは、やっぱり外で働く女性が増えたからですか?

藤田…おっしゃる通り、90年代半ばごろまでは専業主婦のほうが多数派でした。かつて、第一線でバリバリ働いていた女性は、子どもをあきらめるか、あるいは実家の強力なバックアップを得て子育てと両立させるパターンが多かったようです。

トオル…実家の助けが見込めなかったら「子ども」か「仕事」、どちらかを諦めざるを得なかったんですね。人によっては究極の選択だよね。

藤田ただ、今の時代は家計のために共働きせざるを得ない夫婦も増えているので、二者択一どころか、否応なしにワンオペ育児に陥ってしまう人も多いのです。また、地方だと雇用が少ないので、都心で働く女性が年々増加しています。実家からは離れた場所に住んでいると、親に頼るのも難しいですよね。

シズカ…仕事をするには都心部が便利、でもそうすると子育ての問題が出てくる。

藤田…現状では、夫婦で家事育児をどうにかこなすか、実家に頼るか、お金に余裕があればシッターを頼むしか方法がありません。戦後、日本では専業主婦が当たり前の時代がしばらく続いたので、共働き夫婦のためのインフラがまだ整ってないのです。しかしその一方で、共働きせざるを得ない世帯が増加している。

トオル…なるほど。社会の矛盾が「ワンオペ育児」を生んだんですね。
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藤田 結子

ふじた ゆいこ

明治大学商学部教授。東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒、米国コロンビア大学大学院で修士号を取得後、英国ロンドン大学大学院で博士号を取得。2016年から現職。専門は社会学。調査現場に長期間、参加して観察やインタビューを行う研究法を用いる。日本や海外の文化、メディア、若者、ジェンダーなどについてフィールド調査をしている。著書に『ワンオペ育児』(毎日新聞出版)など。


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  • 藤田 結子
  • 2017.06.21