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「ワインツーリズム」その人気の秘密

現地で味わいとワインはもっとおいしい!

◆ワイナリーで醸造家と会い、話が聞けるのが魅力

 2008年春、同年11月にワインイベントの開催が決定。地域住民や大木さん達仲間から構成される実行委員会がイベントを運営することになった。これまでワインのイベントは一カ所で行っていたが、各ワイナリーで開いたほうが面白いのではないか。甲府市在住の大木さん達は、知人で勝沼町在住の鶴田真也さんに相談した。

 勝沼には約30のワイナリーがあり、それらを歩いて回れるコースを作りたい。そのためにも効率のよい場所に臨時バス停を作りバスを運行させたい。大勢の参加者の食事も用意したい。勝沼には飲食店が少なく、出店を準備しなければならない。それには出店者と保健所の許可が必要だった。
「インフラ整備からワイナリー、飲食店、地域の人々、警察、保健所との連携など行政職のような仕事を新メンバーになった自分も含め実行委員会が担当しました。今思えば無茶な頼み事を大木さん達にされました」と鶴田さんは語る。

 第1回ワインツーリズムやまなしには1284名が参加。初回は勝沼だけでの開催だったが、その後、参加するワイナリーも地域も参加者も徐々に増えていった。
「ワイナリーに行けば醸造家が説明してくれます。彼らの人間的な魅力に接することでよりワインをおいしく飲めるのもこのイベントの魅力だと思います」(大木さん)。
 手作りワインを手作りのイベントで飲める。それがワインツーリズムやまなしの最大の特徴となっている。近年、ワインツーリズムやまなしと同じような動きが北海道余市や山形県、長野県でも起こりはじめた。そのユニークな活動
が、ワイン好きから脚光を浴びている。

〈雑誌『一個人』2017年11月号より構成〉

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