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飛鳥時代のチーズ「蘇」とはいったい何?

世界中に数千種類! 人類最古の加工食品 !? チーズ8000年史

◆日本のチーズ作りは文明開化の味がする

 大航海時代が始まると、チーズ文化は、新大陸へと広まっていく。
 中央アジアにも伝播し、独自の発達を遂げたチーズは、南アジア(インド)やシルクロードを通って中央アジアへと伝わる。日本には飛鳥時代の7世紀半ばに乳製品が入ってきた。

イラスト/さとうただし

「牛乳を菌で固めるのではなく、熱を加えてたんぱく質を凝縮した『蘇(そ)』というものを食べていたようです。乳製品を食べると万病に効くといわれ、平安時代までは薬として朝廷に献上されていました。しかし鎌倉時代になると、武士に乳製品を食べる文化がなかったので、次第に廃れてしまいます」。

 国内で本格的に酪農が始まるのは、文明開化まで待たねばならない。明治4年(1871)、北海道で酪農を中心とした近代的な欧米型農業が導入され、同33年(1900)には函館のトラピスト修道院でチーズ作りが始まった。
「昭和初期になると、大手乳業メーカーがチーズを作るようになりましたが、戦争で中断してしまいます。新たにチーズが作られたのは、戦後になってから。進駐軍の影響でプロセスチーズが、一般家庭に普及していきます」。

 昭和45年(1970)の大阪万博以降、ヨーロッパからさまざまなナチュラルチーズが紹介され、やがてピザブームやワインブームでチーズがより身近になった。昭和63年(1988)、日本のナチュラルチーズ消費量は、ようやくプロセスチーズを上回り、以後順調に伸びている。

〈雑誌『一個人』2017年11月号より構成〉

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