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史上最強の聖光学院。初の東北王者に見せた涙

聖光学院、初の東北王者。苦しかった決勝

歓喜の胴上げ「もっと高く」

 

「一切合切、懸念なく送り出せるくらい逞しくなった。信じられない成長。手術をして、休まずにここまで投げてね。それまで、あんまり状態がよくなかったチームが、まとまるようになった。衛藤がいなければ、ここまで来られなかったかもしれない」

 初の東北王者、明治神宮大会出場に並々ならぬ執着を持ち臨んだ秋。聖光学院は質の高いチーム力で、悲願を実現させた。

 選手たちがよくやってくれた――。斎藤監督は、そう何度も口にしたが、最後にしみじみとこう結んだ。

「横山部長が、Aチームと同じようにBチームを育ててくれたおかげ。この秋は部長を称えるべきだよ」

 斎藤監督の賛辞に、横山部長は「自分のやり方を許してくれた監督の器の大きさのおかげと」と感謝を述べる。

 その横山部長が、試合後に選手たちに胴上げされる。まだ感動は収まらない。それでも、「ここで終わりじゃないんだ」と感極まる自分を抑えるように、心のなかでこう叫ぶ。

「低い。まだ低いぞ! 今年の3年生は、もっと高く俺を揚げてくれたぞ」

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田口 元義

たぐち げんき

1977年福島県生まれ。元高校球児(3年間補欠)。ライフスタイル誌の編集を経て2003年にフリーとなる。Numberほか雑誌を中心に活動。試合やインタビューを通じてアスリートの魂(ソウル)を感じられる瞬間がたまらない。現在は福島県・聖光学院野球部に注目、取材を続ける。


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