デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか? |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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デビュー、引退、そして復活。道路標識はいつ誕生し、どのように消え去るのか?

【毎月20日更新】世にも奇妙な道路標識 第6回:変わりゆく道路標識

◆復活した「二人乗り禁止」

 一方、一度消えた標識が復活したケースもある。「自動二輪車二人乗り禁止」の標識がそれだ。高速道路でのバイク二人乗りに規制がかかった1965年に制定されたが、1978年に二人乗りが全面禁止になり、標識の必要性がなくなって削除されたのだ。

 しかし2005年、この規制が緩和され、一定の条件を満たした場合には二人乗りが可能になった。ただし、首都高速道路の主要部分では、相変わらずタンデム走行は禁止となっており、これを示すために「二人乗り禁止」標識が27年ぶりに復活したのだ。規制がかけられると禁止の標識が不要になり、解禁されると禁止の標識が必要になるというのが面白いところである。

首都高入り口にある「二人乗り禁止」標識(中段)

 というわけでこの標識は、都内ではわりによく見かけるものの、他の地域ではかなりレアな存在と思われる。レア標識の設置度合いは地方によってまちまちであるが、これもその典型的な例に挙げられそうだ。地方在住の標識ファン諸氏が上京の際には、ぜひこの標識を東京みやげとしてゲットされることをおすすめしたい。

 近く登場が予想される新標識は、「最高速度」標識の110キロバージョンだ。この11月から新東名高速道路などで、110キロ制限の区間が導入される予定だからだ。新たな標識は他にもいくつも登場しており、そちらは機会を改めてお届けしたい。

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佐藤 健太郎

さとう けんたろう

1970年兵庫県生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科修士課程修了。大手医薬品メーカーの研究職を経て、サイエンスライターとして独立。文系の読者にもわかりやすい解説で定評があり、東京大学大学院理学系研究科の広報担当特任助教として東大の研究実績を対外発信する業務も担当した。『医薬品クライシス』(新潮新書)で2010年科学ジャーナリスト賞、2011年化学コミュニケーション賞を受賞。著書はほかに、『「ゼロリスク社会」の罠』『化学で「透明人間」になれますか?』(ともに光文社新書)、『炭素文明論』(新潮新書)、『ふしぎな国道』『世界史を変えた薬』(ともに講談社現代新書)などがある。


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