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NHKよ、しっかりしなさい!

インタビュー/『NHK亡国論』 著者:西村幸祐

「NHK」はなぜ「朝日新聞」のように追求されなければならないのか?
日本最大の巨大メディア・NHK。その誰も書かなかった“闇”を暴いた問題作が、ついに発売!(2014年9月26日全国書店等で販売開始!)
『NHK亡国論 公共放送の「罪と罰」、そして「再生」への道』の著者・西村幸祐氏に、NHKの病理と改善策について語ってもらった。

 

Q.本書『NHK亡国論』を執筆しようと思った動機をお聞かせください。

 

西村 私たちは毎日のように、NHK(特にテレビ番組)に接しています。そして、一般的には、NHKに対する信頼度は高い。しかし、実はNHKの様々な番組の中で、ちょっと見過ごせないような間違いや、事実を捻じ曲げた偏向報道などが見受けられます。

顕著な例は、2009年に放送された「JAPANデビュー」という番組です。詳しくは本書に書きましたが、この番組の内容に関して、台湾を巻き込む形で、1万人にも及ぶ原告による国際集団訴訟が起きています。税金と受信料で運営されている公的な機関であるところのNHKが、その被告です。

NHKの番組が偏向報道をし、裁判沙汰となっていること自体大問題ですが、それ以上に深刻なのは、その事実が全く報道されていないということです。当事者のNHKはもちろん、民放テレビ、新聞、雑誌などの既存の大手マスメディアの報道量はほとんどゼロに等しい。 

ですから、多くの国民が、この「JAPANデビュー問題」について何も知らない。そして、現在もNHKは様々な偏向番組を放送していますが、その情報を視聴者は鵜呑みにしてしまっているんです。この現状を、なんとかしなければならないと思いから、この本を書くことを決意しました。

 

Q.保守系雑誌やインターネット上では、「NHK」をはじめ、「朝日新聞」「毎日新聞」のいわゆる左系のメディアについて、盛んに論争されていますが、この現状をどうお考えですか? あるいは、そのように論争している人と、一般の人との感覚の差についてどう思われますか?

西村 (メディアについて論争している人と一般の人との間の)差はすごくありますね。NHKや朝日新聞の捏造報道や偏向番組(記事)を知っている人というのは、メディアの報道に対して普段から身構えている。メディア・リテラシー(情報を評価・識別する 能力)が高いんです。

インターネット上で論争を繰り広げている人たちは、何気なくメディアに接している人よりも、自ら積極的に情報を得ようとしている。だから、メディア・リテラシーの能力も高まります。彼らが、NHKや朝日新聞、毎日新聞に対して批判の声を上げるのは当然こと。

けれども一般の人はそういった身構えが全くない。その上、そこまで真面目にテレビを観ているわけはなく、「ながら視聴」が多い。これがかえって危険なんです。真剣にテレビを観ているから間違った情報に毒されるのではなくて、「ながら視聴」をしているからこそ、言葉が記号化され、だまされてしまう。つまり、「洗脳」されてしまうというわけです。

 

Q.  それでは、最近のNHKで気になるところは?

西村 相変わらずNHKでは、明らかにおかしな番組が流れています。あまりに多すぎて、本に書ききれないほどです(笑)

例えば、「歴史秘話ヒストリア」という番組で、沖縄の特集がありました(「はるかなる琉球王国~南の島の失われた記憶~」/2014年9月3日放送)。その中で説明された「琉球」というのが、今、中国共産党が主張している「琉球」とほぼ同じなんです。つまり、「明治時代に入るまで、琉球は非常に平和で穏やかな暮らしを営んでいたのに、明治維新後日本に無理やり併合させられた」というような趣旨だった。これは、「沖縄は元々日本のものではなく、本来シナのもの」という理論。尖閣諸島の領有権を南西諸島ごと奪おうとしている中国共産党の姿勢そのものです。その中国共産党の意向に沿う形で、NHKが歴史番組をつくっている。大問題でしょう。

それから、大河ドラマ「軍師官兵衛」もちょっとおかしい。織田信長が死ぬあたりは、面白くなってきていたのですが、豊臣秀吉の様子がどうも変。今後放送されるであろう「文禄・慶長の役」が、どんな風に描かれるのかも目に見えてわかります。要するに、「晩年になって気が狂った秀吉が、朝鮮を攻めて、侵略しようとした」と――。NHKは平気でそういう誤った筋立てで、放送するのではないか。

もうひとつ、朝の連続テレビ小説「花子とアン」では、大東亜戦争前後の時代を必要以上に悲惨に描いている。これは朝ドラだけではなく、NHKのどのドラマでも共通している歴史観で、今回もそうだった。明らかに度が過ぎています。こういうバランス感覚の欠けた番組が、NHKでは放送され続けているんです。

 

Q.話は変わりますが、近ごろ「日本が右傾化している」といわれていますが、それについてはどうお考えですか?

西村 そういうことを言う人は、左傾化している人では?(笑) はじめから左にいれば、真ん中のものも右に見えますから。

ただしこの問題に関しては、そもそも右とか左とかいう分類の仕方自体が古いと私は思っています。「左」も「右」のフランス革命のときに生まれた分類法です。もうポストモダンなんだから、いい加減そういう見方はやめた方がいい。

最近日本でも、ようやく「保守」や「リベラル」という言葉を使うようになりました。その点では、一時期より認識が改善されたのかもしれません。「右」は時代遅れ、「左」は進んでいて革新的という、そういう誤ったイメージを是正するために、「保守」という言葉が最近ではポジティブな意味でつかわれてきている。それが現状ですが、私はもう少し先を見ています。そもそも、「保守主義」という概念の設定自体がおかしいと思っているんです。これは、来年書きたいテーマのひとつです。

 

Q.今回の作品『NHK亡国論』を書くにあたって、苦労された点は?

西村 NHKの新しい情報(偏向番組)が毎日毎日出てくるので、それをチェックすることが一番苦労したところです。メールやSNS等で、私の読者の方々が逐一報告してくれたりするおかげで、かろうじてそれらの情報に追いついているというのが現状です。

ですから、この本は私ひとりの力で書き上げたわけではなくて、協力してくれた多くの人たちに支えられて完成した作品です。

 

Q.本書で「JAPANデビュー問題」について論評されていますが、この問題が今後どうなっていくのか、予想をお聞かせください。

西村 「JAPANデビュー」訴訟については、高裁でNHKが逆転敗訴しました。私の予想では、おそらく最高裁でもその判決は覆ることはなく、原告側の勝訴(NHKの敗訴)で終わると思います。

しかし問題はそのあと、NHKがどうするかです。ただ、NHKに罰金を払わせることだけが、この裁判の意味ではありません。最大の目的は、NHKに「JAPANデビュー問題」に関する検証委員会をつくらせ、その「検証番組」を放送させるということだと思います。そうでなければ、受信料で運営されている放送局として失格です。

他のメディアも、朝日新聞のいわゆる従軍慰安婦問題の捏造と同じように、どんどん声を上げ、NHKを論評していかなければ駄目です。

 

Q.これからのNHK、公共放送の在り方についてどうお考えですか?

 

西村 現在のNHKには大きな問題がありますが、それでもやはり、公共の放送局というのは必要です。本来の公共放送、つまり「公正忠実の姿勢」と、視聴者がジャンルを多角的に選択できるようなサービスの実現を目指してほしい。

そういう意味では、「ユニバーサル・アクセス」の概念を取り入れた方がいいと思います。ユニバーサル・アクセスとは、多くの国民が関心を持っているコンテンツ(オリンピックなどの国際的なスポーツイベントや、ストレートニュースなど)に関しては、誰でもアクセス(視聴)できるという考え方です。そのようなコンテンツに関しては、NHKはアクセスフリーで対応しなければならない。公共のサービスとして、十全なコンテンツを提供する機能として、NHKは存在するべきなんです。

ですから、NHKが民放の真似をする必要はない。民放のように視聴率を追いかけたり、政治思想的に偏った内容を放送することは、公共機関として行うべきではない。

さらに、現在のNHK職員が受けている厚遇も、全て見直されて然るべき。民放並か、あるいはそれ以上の年収や福利厚生など、とんでもない話です。民放の高い給与体系は、電波が寡占化している中での、異常な額の金銭取引システムによって成り立っているもので、これはきちんと精査されれば崩壊する可能性のあるもの。当然、NHKは、これに見習うようなことをしてはいけません。

 

Q.今後はどのような分野、テーマの本を執筆される予定ですか?

西村 ひとつは先ほどの話でもふれた、「保守主義」と言われているものは、本当は何なのかということを書きたい。最近、「保守」について、間違ったとらえ方をする人が多いので、そのことに疑問を呈したいなと思います。

同時に、「日本のリベラリズム」についても書きたい。日本には、江戸時代から日本独自のリベラリズムがあって、それこそが近代以降の日本を変革したエネルギー源だった。そういう、日本の長い歴史の地下水脈につながるようなものが書ければいいなと思います。

あとは、三島由紀夫論。ノンフィクションでもなければ、文芸評論でもない、新しいジャンルに挑戦してみるつもりです。ちょうど来年(2015年)が、三島由紀夫の死後45年、生誕90年の節目の年なので。

 

Q.最後に、読者に一言お願いします。

西村 とにかく、受信料を払っている人は、全員この本を買ってください(笑)。

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西村 幸祐

にしむら こうゆう

批評家・作家・ジャーナリスト、一般社団法人アジア自由民主連帯協議会副会長。昭和27年東京生まれ。慶應義塾大学在学中より「三田文学」編集担当。2002年日韓W杯後は歴史認識や拉致問題を取材、執筆。「撃論ムック」「ジャパニズム」を創刊、編集長を歴任。著書に『幻の黄金時代―オンリーイエスタデイ ’80s』(祥伝社)、『「反日」の正体』『「反日」の構造』(文芸社文庫)、『メディア症候群』(総和社)など多数。近著は『マスコミ堕落論』(青林堂)。

<公式ホームページ> 西村幸祐 公式 http://kohyu-nishimura.com/


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  • 2014.09.26