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2020年教育改革「主体的に学ぶ子」はどこまで育てられるか?

【ゆとりからアクティブ・ラーニングまで】教育改革の9割が間違い 第1回

2020年教育改革の目玉とされている「アクティブ・ラーニング」。従来の詰め込み式教育をやめて、生徒による主体的な学習へと転換させるものだが、はたして効果はあるのだろうか。2017年10月に『教育改革の9割は間違い』を上梓する諏訪哲二氏に聞いた。 

◆能動的学習と学力の向上は別ものである

 アクティブ・ラーニング(能動的学習)は「行政のちから」の新しい〈正論〉である。まだ小学校・中学校・高校の現場に定着しているわけではないし、とりわけ「教師のちから」に〈正論〉として受け容れられているわけでもない。

『朝日新聞』の教育担当のトップである氏岡真弓氏は「社説余滴」(2016年9月2日付)で、次のように問題提起している。〈「アクティブ・ラーニング」(能動的な学び)は、既に多くの学校が取り組んでいる。話し合いや発表を採り入れ、時間が足りなくなる授業をこの間、いくつも見た。深い学びを目指せば、相応の時間がかかり、教える中身を絞らざるを得ないと思うのだが、どこまで可能なのか〉

 時間が足りなく中途半端になっているとか、教師の指導力が足りないという意味であろう。

 もちろん、現在うまくいっていないからといって、この方法が間違っているとはいえない。だが、私の高校教師時代の実践の経験から原理的ないしは現実的な問題点がいつか指摘できる。

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諏訪 哲二

すわ てつじ

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~プロフィール~

1941年千葉県生まれ。「プロ教師の会」名誉会長。作家。東京教育大学文学部卒業。埼玉県立川越女子高校教諭を2001年3月に定年退職。「プロ教師の会」は、80年代後半に反響を呼んだ『ザ・中学教師』シリーズ(宝島社)をはじめとして、長年にわたり教育分野で問題提起を続けている。著書に『なぜ勉強させるのか?』『間違いだらけの教育論』(以上、光文社新書)、『オレ様化する子どもたち』『「プロ教師」の流儀』(以上、中公新書ラクレ)など。


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