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「ロボコン」は今年で第30回。記念すべき第1回目の舞台裏

ロボコンをつくった男たち

9/20発売の『闘え!高専ロボコン ロボットにかける青春』(萱原正嗣著・全国高等専門学校ロボットコンテスト事務局 監修)では、2016年大会の熱戦の舞台裏から、2017年度に向けた青春ドラマがつづられる。これまでの30年の伝説のロボットや「迷ロボット&名ロボット」も取り上げられている。

驚きの、ロボコンの第1回の内容とは?

 

 今年(2017年)で30回を数える高専ロボコンの始まりは1988年。競技課題は「乾電池カー・スピードレース」だ。単一乾電池2個の電気エネルギーだけで、体重60㎏以上の人を乗せ、35mのタイムを競う。この年は全国から12校の高専が参加し、撮影はNHKのスタジオで行われた。

 この競技には、さらなる源流がある。東京工業大学の名誉教授にして、日本のロボット工学研究の始祖の一人である森政弘氏が、1981年10月に東工大工学部制御工学科で始めたものづくり授業である。このときのルールが、単一乾電池2個で一人の人間を乗せ、アスファルトの駐車場を60m走る時間を競うタイムレースだ。3年次の学生34名が、4チームに分かれ、4ヵ月間製作に取り組んだ。

 レースは翌1982年2月に開催され、4チームとも完走を果たした。そのうち3チームは1分を切る見事なタイム。だが、残りの1チームは、何度も止まりそうになりながら、そのたびにまた少し動き出す、というのを繰り返した末に、7分以上かかってゴールした。

 当日のやんやの喝采もさることながら、この授業は学生たちの「つくる喜び」と「創造力」をおおいに刺激したようだ。無気力学生が、授業が終わっても夜遅くまで製作を続け、別の学生は、家庭教師のアルバイトの時間を忘れてマシンづくりに没頭した。この授業は好評で、翌年以降も毎年開かれる恒例の授業となり、それがNHKの番組に発展していくわけだが、それには次のような経緯があった。

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  • 萱原正嗣
  • 2017.09.22