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センター廃止にはじまる教育改革。教師たちは「ゆとり教育」失敗の教訓をいかせるか

【2020年の教育問題】を石川一郎氏が徹底解説2/3

今回の教育改革がゆとり教育のときと違うのは

シズカ…今回の改革について先生が賛成とおっしゃるということは、ゆとり教育のときとは違う状況ってことですか?

石川…そうです。「三位一体改革」などと言われますが、今回は試験の内容に加え、高校の教育内容も大学の教育内容も変えることを目指しています。企業側が求めている人物像が変わっているのだから、大学側に生徒が「卒業時にどれくらいの知識を身に着けているか」「どんな学生を求めているか」というアドミッションポリシーを設定させます。大学の出口が変われば、大学の教育の中身が変わる。すると、入り口も変わりなさいという話になる。

トオル…なるほど、今回は大学の入試が変わるってことは、それにともなって高校の教育も変わるからゆとり教育よりも骨抜きになりづらいってことだね。

石川…変わらないといけないですが、ゆとり教育の時と同じ懸念点もありますね。現場の教師たちの問題です。彼らはこれまでのやり方に慣れきっていますから、変化を受け入れづらいのではないでしょうか。教育を変えないといけないとはわかりつつも、実際問題として「新しいテストを導入して、どう採点するの?」といった声も多く耳にしています。教師サイドの懸念も理解できますが、一種の岩盤規制になっていますよね。

トオル…でた! まるで獣医学部の新設を反対している人たちみたいだね(笑)。

石川私が少し心配しているのは、20年前のゆとり教育の理念に共感し期待していた教師たちの存在です。結局、ゆとり教育では骨抜きになりましたから、正直なところ「またか……」と思っている人も少なくないのではないでしょうか。

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