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国民を守った自衛官は、殺人や傷害で起訴される可能性が高い

日本の軍事力 自衛隊を阻むものの正体②

こんな行動制限を受けていれば… 

 戦闘の常識からすれば、相手を徹底的に叩くのが普通でしょう。そうでなければ、こちらがやられてしまうからです。しかし、たとえ日本船舶を撃沈し多数の死者を出した外国軍艦であっても、相手が攻撃をやめたら、これを見逃さなくてはならないのです。追撃して敵に被害が出たら、指揮官は殺人や傷害罪に問われることになります。もちろん自衛隊法にも違反します。敵が次に攻撃を開始するまで(また先に撃たれるまで)、やはり手を出せないのです。

 こんな行動制限を受けていれば、負けるに決まっています。

 ミサイル戦の時代ですから、先制攻撃を受ければ致命的です。反撃する前に沈められるか、大被害を蒙ることになるのはあきらかです。日露戦争の日本海海戦のように、相手の射撃を受けつつ肉薄し、後から有効弾を浴びせるわけには行かないのです。先に撃たれたら終わり、というのが現代の海戦なのです。

『日本の軍事力』より構成)

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中村 秀樹

なかむら ひでき

昭和25年生まれ、福岡県出身、防衛大学校18期。潜水艦艦長のほか、海上幕僚監部技術部、護衛艦隊運用幕僚、情報本部分析部、幹部学校教官、防衛研究所戦史部等勤務。平成17年退官。著書に『本当の潜水艦の戦い方』『本当の特殊潜航艇の戦い』『これが潜水艦だ』『尖閣諸島沖海戦』『第二次日露戦争』『日韓戦争』(潮書房光人社NF文庫)『潜水艦完全ファイル』(笠倉出版社)などがある。


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