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忘れがちな旅行の思い出を残す「旅ノート」のすすめ

奥野宣之さん流 旅ノートの作り方

憧れの風景を準備ノートに集め、旅気分を高める「旅ノート」。自分の嗜好が視覚化され、次の旅先の決定に役に立つ。作り方のポイントを、ノート本ブームの火付け役・奥野宣之さんにうかがった。

◆ノートを「憧れ」で埋め尽くし旅に出たい気持ちを高める

写真:photolibrary

 旅ノートを作る際、「旅の前」「旅の途中」「旅の後」の3段階に分けて行うという奥野さん。まだ旅の予定がない日常から情報収集を習慣にしている。

「具体的な旅先についてまとめるのではありません。新聞や雑誌、駅に置いてある沿線ガイドなどで気に入った写真や記事を見つけたら、どんどん切り抜いて1冊のノートに貼るだけ。憧れの土地を蓄積して旅の計画に役立てます」。

「行けるか行けないか」という現実問題は別にして、日頃から、「この景色を見てみたい」「九州のこの名産おいしそう!」などと心が動く対象をストックしておくこと。ノートには地名や施設名、惹かれる理由も書く。「行きたい」という気持ちを解放すると情報が集まりやすくなり、好奇心の幅も広がるのだ。

「大切なのは手を動かすこと。ハサミで切り抜いてノートに貼ることで、頭の隅に記憶が残るのか、不思議と3年ぐらいは忘れません。ノートに貼るという作業は手間がかかりますが実は一番効率的な記憶の残し方なんです」。

 実際、ノートを見せてもらうと、イースター島の隣に食べてみたい魚があったり、国もジャンルも実に多彩。スクラップを続けていると改めて自分の感性や価値観が把握できて、うれしい発見がある。

「最近好きなのは巨岩奇岩が入り組むリアス式海岸のような海岸線。水墨画のような風景が広がる中国にも憧れますね。古墳時代や幕末などの歴史、博物館や美術館、野鳥や猫、巨木など、おぼろげでいいので旅のテーマを決めておくと、情報が集めやすくなります」。

 スクラップの”ネタ元”は、写真が美しくて切り抜きがいのある雑誌『ナショナルジオグラフィック』が多いそう。また、地方に行く際は図書館の郷土資料室で地図を眺め、ガイドブックにない穴場を探すこともあるという。

「自分好みの傾向がわかると、旅のプランニングが効率よくできます。グッとくる写真や記事を見つけ出す感度を日頃から磨いておくことが大切です」。

 

◆旅で得た体験を、手で記録 思い出をドラマティックに

 旅の間、ノート作りに必要なポイントもいくつかあるそう。「観光地のリーフレット、施設の入場券、店のカードなど紙の資料は一つの袋にまとめておくと便利。さらに地図に歩いたルートをマーカーで記しておくと忘れません」。

 旅先では名刺大のメモ帳をポケットに入れて《◎時◎分に駅に到着。昼飯はしらす丼》など、簡単な”道中メモ”を記しているという。

 帰宅後に仕上げる旅ノートは切り抜いた資料や地図、道中メモ、撮った写真を貼り、余白に付け加えたいことを記している。

 ノートを見返すと旅の楽しい記憶が蘇り、また旅に出かけたくなるに違いない。自分流の旅ノート作りにぜひ挑戦してみてほしい。

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奥野 宣之

おくの のぶゆき

1981年大阪府生まれ。同志社大学でジャーナリズムを専攻。雑誌社や新聞社を経てフリーに。『情報は1冊のノートにまとめなさい』で著作デビュー。同シリーズは累計50万部以上のベストセラーに。近著に『図書館「超」活用術』など。


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