140試合連続フル出場。大記録をもたらした中澤佑二「自分を動かす」力 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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140試合連続フル出場。大記録をもたらした中澤佑二「自分を動かす」力

大記録の裏側にあった「言葉の力」

■逆境を跳ね返す「言葉の力」

「言葉」に対して敏感であることだ。『自分を動かす言葉』はまさにそれをテーマにした書籍だった。本書のはじめに、にはこうある。

『サッカー小僧だった僕――ただうまくなりたい、試合に勝ちたい、世界を目指したいとグラウンドで四苦八苦していただけの――が「言葉」を意識し始めたのは2007年ごろだった。振り返ってみると、それ以前にも僕の中にたくさんの「言葉」が息づいていることに気が付いた。(中略)多くの言葉が、時にくじけそうになっていた僕を奮い立たせ、時に喜びに包まれていた僕をさらに何倍も喜ばせ、明日へのモチベーションを上げていってれた。(中略)時に思う。言葉には力があるのではないかと。苦しいと時も、楽しい時も、自分を前に進めてくれる「自分を動かす」力だ。今でも僕は、特に自分に対してネガティブな感情が湧いてきた時に、「言葉」に救いを求めている。新しい本を読んだり、これまで読んだ本を読み返したり、なんとなくネットで言葉を探してみたり……』

 大記録のかげには、多くの苦労があったはずだ。そんなとき、中澤選手は「言葉」の力を求め、自身の力に変えていった。
 本書の最初に記された「言葉」は『成功ではなく成長を目指す』だった。以下、引用してみる。

『僕のサッカー人生を表していると思った言葉がある。

「人生において『成功』は約束されていない。しかし人生において『成長』は約束されている」

 これは田坂広志さんという多摩大学の教授の方が書いた『未来を拓く君たちへ』(くもん出版)という本で出会った言葉だ。大げさな言い方かもしれないけど、僕はこの言葉は人生の真理を突いているように思っている。

 世の中、思い通りにはいかないのは、ほとんどの人が身に染みて感じていることだろう。
 僕らサッカー選手にとって成功とは、結果であり、優勝やゴールといった華々しいものだが、僕自身、今までのサッカー人生において、そう簡単に結果が出たためしなどない。
 一方で、週末の試合で得点をしたり、活躍したりする選手が、実は大して練習をしていなかったなんてことはよくある話だ。
 そんなとき、「なぜあいつが……」と思ってしまうのが人間のさがであり、僕も少なからず、嫉妬心にさいなまれた時期がある。特に自分自身が人よりも努力していると自負していればいるほど、「自分はずっと居残り練習をしてきたのに、何で活躍できないんだ」とか「何で俺は点を取れないんだろう」と悩んでしまうのだ。

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