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ウナギの旬は夏じゃなかった

季節でおいしい魚を選ぶ! 押さえておきたい「旬」の話

◆温暖化が続けば魚の旬がなくなるかも?

 秋に旬を迎える魚は、冬に備えて体に栄養を溜め込むため、他の時期に比べて脂肪の含有量が何倍にもなる。つまり、それだけ脂が乗っておいしいというわけだ。
 この時期の旬の魚といえばカツオ。いわゆる「戻りガツオ」である。
「春から初夏にかけて北上していたカツオが秋になって南下してくるのですが、たっぷりエサを食べているので非常に脂が乗っています。冬から春にかけて北へ移動して、秋冬に日本近海へ戻ってくる季節回遊魚は、秋冬が旬であることが多い。カツオの他には、ブリなんかもそうですね」(藤原さん)。

 

 好ましい季節条件を求めるだけでなく、魚が回遊するのはエサや産卵が目的だったりもする。産卵のために、海から川へ戻ってくるサケも秋が旬。前述した、産卵前の魚は脂が乗っていておいしいという法則が当てはまる。
 一方、冬になると、魚の動きが停滞してくるので、普段あまり動かずにエサを取る魚がおいしい。キンメダイやヒラメ、アンコウなど、主に海底に生息する魚が、この時期の旬だ。
 また、カキなどの貝類、ズワイガニなどの甲殻類も冬が旬。
「ズワイガニは高級ガニの代表格で、日本海の冬の風物詩です。毎年11月初旬が漁の解禁ですが、初競りでの最高値が話題となりますね」。

 旬の魚を味わうのは四季を知ることでもあるのだが、最近は温暖化の影響で四季を感じられなくなったとの声も聞かれる。
「サワラは本来暖かい太平洋側に生息する魚なのですが、最近は秋冬に京都や山形、青森沿岸など日本海側でも獲れたりします。もう旬がなくなっていますよね。魚に季節感がなくなっているのは、温暖化だけでなく、鮮魚流通の発達による部分も大きい。このまま温暖化が続けば、魚の旬も大きく変わってくると思いますよ」。
 季節を問わず、おいしい魚を食べられるのは嬉しいが、ちょっと複雑な気がしないでもない。

『一個人』2017年6月号より〉

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