マッキンゼーで14年間活躍し、現在も国内、国外の大手企業、ベンチャー企業で経営戦略の立案や実行支援、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードしているブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクターの赤羽雄二さん。『3年後に結果を出す 最速成長』(KKベストセラーズ)を刊行するのに併せて、最先端のコンサルタントの世界から見た、これからの10年と対応策について訊いてみた。
 

私たちは、どんな時代を生きているのか?

──最近では、AIや自動運転、ブロックチェーンなどの言葉を聞かない日がありません。ものすごい勢いでテクノロジーが進化し、一方でほとんどの仕事がなくなるのではないかということも言われています。

「インターネットの普及以来、技術の発展が驚くほど加速してきました。囲碁は非常に複雑なゲームなのでAIが囲碁の世界トップレベルの棋士に勝つのは、かなり先だと言われていました。それが昨年、「アルファ碁」にイ・セドル9段が負けたニュースは、皆さんもご存じなのではないでしょうか。

 これは、2012年から急速に研究が活発になったディープラーニング(深層学習)により、簡単に言うとAIが、勝手に賢くなる方法が普及し、AIのレベルが一気に上がった結果ですね。

 また、自動車の自動運転は、ここに来て世界中で実証実験が行われるようになりました。運転手のいないロボットタクシー、無人トラックが一般道路を走るのもそれほど遠いことではありません。

 背景には、インターネットの事業機会を最もうまく活かした米フェイスブック、グーグル、アップル、アマゾンが4強と呼ばれ、全世界で圧倒的な力を発揮していることがあります。時価総額も40~80兆円と日本企業の数十倍になり、次々に有力ベンチャーを買収してさらに競争力を上げています。AIや自動運転への巨額投資も彼らの特徴で、日本企業が逆立ちしても追いつきません。

 技術の進化がこれまでになく加速し、ビジネス的にも勝者と敗者の差が極端につく時代です。正直に言えば、日本はそうした流れに完全に乗り遅れていると言わざるを得ない状況です。

 そして個人に関しては、今まで以上に自分の身は自分で守らなければならなくなった、そういうふうに私は考えています。これまでとは違う価値観、視点、取り組みが必要とされます。従来の延長線上では、もう語ることはできません」

10年後の世界はどうなりそうか?

──このままいくと10年後の世界はどうなるか教えてください。

「フェイスブックも、グーグルも、アップルも、アマゾンも当初、そこまで大きな存在ではありませんでした。それが前代未聞のスピードで成長し、今日の地位を築いたわけですから、将来は、ほとんど想像できません。

 ただ言えることは、今の勢いが続くことにより、10年後には、AI、ロボット、自動運転、EV、ドローン、ブロックチェーンなどの発展で、かなり多くの肉体労働や単純な事務作業を機械がやってくれるようになるということです。

 その結果、私たちの仕事のかなりの部分がなくなります。それは、過去の産業革命やインターネット革命では起きなかったほど、急激かつ広範囲に仕事がなくなっていくと考えられます。馬車の御者、ガス灯のメンテナンスや電話交換手という仕事が100パーセント消滅したように、今、多くの工場から組み立て工が減り、白熱電球がLED電球に代わって電球交換が減り、受付業務が減っています。もう後戻りしない変化です。

 一方で、朝晩、1時間以上、満員電車に揺られて通勤することは減っていくでしょう。家にいても、大画面ディスプレイによりオフィスと近い環境を作れますので、週に1回出社日を決めて顔を合わせれば大丈夫というような仕事が増えます。もちろん、仕事があればの話ですが。

 これまでにないほど広範囲に仕事がなくなっていきますので、早々に対応できた人とそうでない人の間で大変な差がつきます。イメージを持っていただくために例をあげてみます。今、大卒で大企業に勤め、30歳で年俸400万円だとすると10年後には、

◆早々に対応できた人:年俸が上がり、1000万円以上もある程度はいると思います。AIに置き換えられない仕事に移り、その中でも成果を上げ続ければ、という人です。

◆対応できなかった人:正社員の地位を維持できず、仕事を見つけることがどんどん大変になっていきます。時給1000円で一日6時間、週5日働いて年収150万円といった形にもなりかねません。体調がいったん悪くなると収入が減りますし、仕事し続けられるかどうかという状況です。

 といったことが起きても不思議ではないと考えています。後者の場合は相当にきつく、挽回もよほどのことがない限り難しくなっていきます。これが現実です」