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10年でスマホからの保険申込みが過半数に。ライフネット生命会長・出口治明氏が語る「変化のスピード」

出口治明さん5月毎日更新 Q.28 ライフネット生命を開業してからの10年。 世の中の流れは速いですか。遅いですか?

出口治明氏がライフネット生命を開業したとき、スマホの普及はほぼゼロだった。それがいまやスマホからの申し込みが半分になった。変化のスピードはすさまじい。しかし社会は一直線にはなかなか進まないもの。こういった時代だからこそ、時に立ち止まり、課題を一つひとつ丁寧につぶしていくことが重要だ。

社会は一直線には進まない。いつもジグザグに進むもの

 

 時代が早すぎる部分と遅すぎる部分。よく見ると、どちらもあるようです。

 例えばライフネット生命を開業したときは、スマホの普及はほぼゼロでした。全てパソコン経由で生命保険を買っていただいていました。たかだか10年前の話です。

 それが、今ではスマホから生命保険を購入する人が半分くらいになりました。KDDIさんと業務提携をした理由はそこにあります。ここまでスマホシフトが進んでいったら、やっぱり「キャリア×保険」というものも考えないといけない。

 育児や家事などのすきま時間にスマホから生命保険を買うというのは、10年前に考えられなかった。こうしたことが実現できるということは、世の中がものすごく進んでいる面でもありますよね。

 そういう人たちがいる一方で、やっぱり生命保険は顔を合わせて面談して買いたいという人も根強く存在します。世の中は、一色ではなく、まだら模様なんですよね。

 ただ、世の中の進化は加速するので、今後5年~10年単位で見ていたら、生命保険もインターネットで買うというのが一般的な社会常識になると考えています。

 これは僕個人の考えですが、社会は、一直線に進むというのは実はないんですよね。歴史を見ても、ジグザグに進んでいることが多い。これは、どの地域どの時代もそうです。

 現時点では、インターネット販売について一つひとつ潰していかないといけない課題もまだたくさんあります。特に金融業界の場合は、他の業界よりも時間をかけて対応していかなければなりません。

 ただ、一つひとつの課題を丁寧に乗り越えて行くことが、こうした時代には逆に大事だと僕は思っています。その積み重ねが将来の発展につながる、そう信じてやみません。

明日の質問は「Q.29 インターネットの進化に高齢者が追い付けない面がありますが?」です。

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出口 治明

でぐち はるあき

ライフネット生命会長。1948年、三重県生まれ。京都大学を卒業後、日本生命に入社。企画部などで経営企画を担当するとともに、生命保険協会の初代財務企画専門委員長として、金融制度改革・保険業法の改正に従事する。ロンドン現地法人社長などを務めたあと同社を退職。2008年にライフネット生命保険株式会社を開業した。


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