(編集部より)今回のインタビュー「30問30答」では、「お金」を中心として、人生の中で知っておかなくてはならないこと、とくにできるだけ早い時期に身につけておくべき知識について聞くために、ライフネット生命の創業者でもある出口治明会長を訪ねた。 そこに入ってきたのが、出口さんが6月25日に開催する株主総会後に会長職を退任するというニュース。出口さんは、戦後初の独立系生保となる「ライフネット生命」を起業し、「インターネット生命保険」という新市場を切り開いた。 開業当時、出口さんは60歳。還暦を迎えてから本格的な起業を成功させた「還暦ベンチャー」としても話題になった。あれから10年、出口さんに退任する理由から聞いてみた。

これからは後陣から支えていく

 

 ブログにも書きましたが、理由は、概ね3つです。

 1つ目ですが、ライフネット生命は、昨年10月で準備会社設立から10周年を迎えました。僕は、ライフネット生命を軌道に載せるべく、この最初の10年は全力で陣頭指揮を執ってきたつもりです。

 次の10年の課題は、何よりも次の時代を担う若い世代を育てることにあります。社長を両翼から支える30代の若い取締役2人を前面に立て、僕は後陣から彼らを支える役割に回ろうと思ったのです。

 僕は「人間は動物である」ということをこれまでも、よく話してきました。原理原則に立ち返る時に、人間は動物であるというファクトを忘れてはいけないと思います。

 動物は、次の世代を育てたら死んでいくケースがほとんどです。言ってみれば、動物は次の世代のために生きているということです。

 これは、人間の歴史を見てもわかることですし、ビジネスの現場でも高齢者は次の世代にバトンを渡しながら、自分に合った役割を探して次の目標にチャレンジして行くというのが自然な流れです。

 次の世代のために生きるというと、ちょっと格好良すぎるように思えるかもしれませんが、たとえば僕のサラリーマン時代は、よく先輩に誘われて飲みに行ったものです。いつも先輩におごってもらっていたので、あるとき、たまには払わせてくださいと申し出たことがあります。そのとき先輩に、次のように嗜められました。
「アホ言うな。俺たちも先輩に、こうして奢ってもらってきたんだ。おまえらが先輩になったら、今度は若い奴に飲ませてやればそれでええのや」

 こうしたことが次世代のために生きるということです。人間として大切なのは、次の世代を育て、きちんとバトンタッチすることです。バトンタッチするために生きていると言ってもいいでしょう。
 それを円滑に行うために、今年の7月からは後陣から全力で若い世代を支える役割に回ろうと考えたのです。

(明日に続く)