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いよいよ北朝鮮崩壊のカウントダウンが始まったか!?

『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』 第4回

韓国が赤化消滅する日は来るのか――元韓国国防総省北朝鮮情報分析官であり、元外務省主任分析官である佐藤優氏との緊急対談した『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』を上梓するなど、朝鮮半島情勢に詳しい高永喆(コウ・ヨンチョル)氏に、今後の動きをどうみるのか、情報分析のプロの視点から話をしていただいた。   

なぜこの時期に… 

 4月6日に予定されていた米中首脳会談前の5日、またも北朝鮮が東部の咸鏡南道・新浦付近から東海に向けて弾道ミサイルを発射した。

 何でこの時期にアメリカを刺激する行動を取ってしまったのか。金正恩は米中首脳会談を牽制して、習近平氏にアメリカとの直接交渉の席に着くように言ってもらうつもりだったのかもしれませんが、完全に逆効果になっていることは間違いありません。中国としてもこれ以上、金正恩の勝手な行動を許すわけにないかなくなってきていると思います。

 ミサイル発射を受けた安倍晋三首相との電話会談で、トランプ大統領は「最大限の軍事力で米国と同盟国を守る」と表明した。さらには、ヨルダンのアブドラ国王と会談後の記者会見では、「北朝鮮は大きな問題であり、私の責任で解決する。何年も前に対処していれば責任は軽減されていた」とも発言しています。

 また、ティラーソン米国務長官は「米国はこれまで北朝鮮に関して十分に発言してきており、これ以上、コメントすることはない」というコメントも残しています。このミサイル発射の直前には、上院軍事委員会公聴会で、ハイテン戦略軍司令官が、「大統領が判断すれば、いつでも軍事的選択肢を用意する」とまで言っています。

 アメリカの主要人物が、北朝鮮とその最高指導者である金正恩に対して、不快感を直接言葉にしているのです。アメリカとしては、北朝鮮が本土への攻撃能力を持つ大陸間弾道ミサイルが開発されてしまったら、大きな脅威になるので当然です。

 こうなってくると、緩衝地帯として北朝鮮を手放したくない中国もアメリカの意見に同意しなくてはいけなくなってくると思います。つまり私の著書の中で行った佐藤優氏との対談でも語ったのですが、いよいよ金正恩の斬首作戦実行の時期が近づいてきたと予測していいでしょう。事実、本が出た時点では、斬首作戦について、ほとんど触れていなかった日本のマスコミも一斉に報道し始めています。

 手順としては、電子戦機によって北朝鮮のレーダーと通信網を麻痺させ、同時に、ソウルに向けられている300余門の曲射砲を始め、韓国に影響を及ぼす軍事拠点、それに日本に向けられたミサイル発射基地をピンポイントで攻撃して破壊。その後、韓国軍特殊部隊とアメリカ海軍のSEALsの合同作戦によって、金正恩を排除するという措置が取られるでしょう。

 その後は中国、もしくはアメリカの助力によって新政権が打ち立てられ、新北朝鮮の樹立という道が開けてもおかしくはない情勢です。ただ、中国にとっては北朝鮮がアメリカ主導で新体制になり、アメリカ軍が駐留されては困ります。一方のアメリカは中国の勢力拡大を防ぎたい。今回の米中首脳会談は、その折衷案も含めて手順や約束事が話し合われる可能性が十分にあります。

 ただし、朝鮮半島の急速な南北統一ということにはなりません。北朝鮮に民主的な政府が樹立され、経済活動が活発になって豊かな国になってからでないと韓国の経済が持たないからです。韓国と北朝鮮の経済格差が埋まってきたところで、平和的な南北統一をするというのが理想なのです。

韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』より構成

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高 永喆

コウ ヨンチョル

拓殖大学客員研究員、韓国統一振興院専任教授、元韓国国防総省北朝鮮分析官。

1953年、韓国全羅南道に生まれ。1975年韓国朝鮮大学卒業(奨学生)、同年海軍将校任官、海軍大学卒業(正規18期)。

駆逐艦作戦官を経て第2艦隊特海高速艇隊長、済州道防衛司令部情報参謀、海軍士官学本部隊長、国立海洋大学・海軍教育団(ROTC)教官・副団長を歴任。

1989年からは、国防総省北朝鮮分析官(専門委員)、同日本担当官(防衛交流)を務める。

1993年、金泳三政権の軍部粛清により、全斗煥、盧泰愚の元大統領及び軍政治団体ハナ会らとともに逮捕。その後、金大中大統領の特別赦免・復権を受ける。

1999年12月に来日。以降、テレビ、新聞、週刊誌に北朝鮮問題解説、特講、講演を通して韓日友好に寄与中。

共著に佐藤優氏との『国家情報戦略』(講談社)、ほか『亡国のインテリジェンス』(文芸社)などがある。


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  • コウ・ヨンチョル
  • 2017.03.25