頭は悪くないのに、仕事ができない──。そんな残念な人には「口ぐせ」があった! 口ぐせには、その人の持つ残念な「モノの見方」や「考え方」、「心の持ちよう」が潜んでいる。したがって口ぐせとは、その人の頭の中そのものだと言っていいだろう。新刊『残念な人の口ぐせ』の著者、ビジネスコンサルタントの山崎将志氏が、口ぐせとその奥にある心理を分析。残念な上司部下への対応策と業務がスムーズになり、業績が上がる、そして人間関係がうまくいくための方法を解説する。

■高尚に見えるただの言葉遊び「ビジョンが見えません」

~カッコよく響く最高部類の批判~

 

 以前であれば、仲間同士で飲んだ時などに、上司や会社の経営について「ビジョンが見えないんだよねー」というのは、ある意味、酒のつまみでもあった。そこには、愚痴であることの自覚があった。ストレス解消のための突破口として、ピストル的な役目を担っていた。

 ところが最近は、会社のやり方や、上司の方針に不満を持つ若手が、上司や経営者に向かって「ビジョンが見えません」と言うのを聞くことがある。

「社長がどういうビジョンを持っているかわからない」「このプロジェクトにおける課長のビジョンが見えません」などだ。

 この言葉は、なぜかカッコイイ響きがある。批判の言葉としては最高の部類に入る。リーダーとしては痛いところを突かれた感じになる。

 ダメな経営者や上司に対して、皆の前で言った場合には、「お、勇気あるな」と羨望のまなざしで見られることもある。

 昨今の日本企業の業績を見ていると、瀕死の会社に勤めている社員が経営人に対してこのように感じる気持ちも理解できる。

 しかし、これほど無責任な批判はないと私は思う。だいたい、そういう人は、自分自身が明確なビジョンを持っていないのである。

 ちょうど、「政治家は国のビジョンを示せ」という、ジャーナリストやテレビ番組のコメンテーターが、国のビジョンなど持っていないのと同じだ。

 仮にあったとしても、せいぜい「諸外国と仲良くする国」「弱者にやさしい国」レベルの抽象的な言葉遊び程度である。

 彼らが公衆の面前でこのようなことを言って大目に見てもらえるのは、人前で権力を批判することが仕事だからである。そして、その対価はテレビの出演料や原稿料である。  

 本当に実行する立場になれば、軽薄な発言はできないはずだし、また国のビジョンづくりが必要だと思うのであれば、自分自身のビジョンを示して、総理大臣に直接プレゼンをし、担当大臣か秘書官に任命してもらうしかない。

 会社員の仕事は批判ではない。担当職務の遂行により、会社の成長と利益に貢献することだ。

 それにはまず自分自身のビジョンを持つ必要がある。自身のビジョンに基づいて会社の利益に貢献するために障害となるものがあるなら、その解決策を考え、必要な人に話して説得すればよい。

 あなたは会社の問題はわかっているのだから、くだらない質問をする前に提案をしよう。

「赤字体質脱却のためにはこのようなことが必要です。私にやらせてください」

「この商品、こうすればもっと売れると思うんです。だから、こんなプロジェクトを提案させてもらえますか」

 賛同者が得られれば、改革のプロジェクトリーダー、あるいは経営企画や戦略企画などの責任者に大抜擢されるかもしれない。

 それくらいのプランも覚悟もなく、何となくもやもやした気持ちを、「ビジョンがない」という耳障りのよい言葉にすり替えてはいけない。

「ビジョンが見えない」などと二度と言うな。

 ないと思えば自分で提案し、実行する体制を作れ。それができなければ、転職するか、自分のビジョンを実現できる会社を作ればよい。以上。

『残念な人の口ぐせ』より構成】