頭は悪くないのに、仕事ができない──。そんな残念な人には「口ぐせ」があった! 口ぐせには、その人の持つ残念な「モノの見方」や「考え方」、「心の持ちよう」が潜んでいる。したがって口ぐせとは、その人の頭の中そのものだと言っていいだろう。新刊『残念な人の口ぐせ』の著者、ビジネスコンサルタントの山崎将志氏が、口ぐせとその奥にある心理を分析。残念な上司部下への対応策と業務がスムーズになり、業績が上がる、そして人間関係がうまくいくための方法を解説する。

■マイクをつけたヒソヒソ話は要注意

~「ここだけの話だけど」重要感を演出するのは逆効果~

 

 ちょっとした打ち合わせや飲み会の場で、「ここだけの話ですが」という人は、あなたの周りにも必ずいるはずだ。すでにそれが口ぐせになっているような人もいる。

 結論から言えば、ここだけの話をすると、たいていは本人の意図に反して信用を失う、損をするといった結果につながる。

 たとえば、他人に関する秘密の話や、有名人との付き合いの中で生まれたエピソード(おそらくその有名人は人に知られたくないであろうもの)を「ここだけの話」としてバラす人には、自分の「ここだけの話」はできない。

 秘密をバラす人は、バラす相手から信用を得たいから秘密をバラす。自分は価値のある人間だと思ってもらいたい、相手の知らない情報を知っている、あなただけに話すという相手に対する重要感を演出したいのだろうが、逆効果だ。

「この人は秘密は守れない」と思われるだけである。

 信用を得る人というのは、あらゆる秘密を絶対に守る。どんな些細なことであっても、自分の胸にとめておく。

 また、自慢げに秘密を話すと、信用だけでなく実損をこうむることもある。

 野村克也元監督のエピソードがある。野村氏は、現役の頃に西鉄ライオンズのエースであった稲尾選手の球がどうしても打てなかった。

 そこで、稲尾選手のピッチングをネット裏からフィルムにとってそれを擦り切れるほど見た。

 すると、球種によって手元からのぞくボールの白い面積がほんのわずかだが違っていたのに気付いた。それから、稲尾選手を攻略できるようになったそうだ。

 ところが、そのクセを同じチームのピッチャーにこっそり打ち明けたところ、彼が稲尾選手に「野村はよく研究しているよ」と言ってしまった。その後、しばらくすると稲尾のピッチングからその癖がすっかり消えていたというのだ。

 逆に、好感度を高める「ここだけの話」もある。

 それは、自分の秘密を話すことである。それも、どちらかというとあまりよくない話、失敗した話だ。

 自分の失敗を話すのはとても勇気がいる。その勇気を持つためには、心に余裕があり、ある程度自分に自信がなければならない。加えて、その失敗はすでに自分の中で解決されている必要がある。

 しかし、いずれにしてもそうした秘密を話してもらった人は、あなたに好感を持つ可能性が高まる。

 野村監督も、こんな失敗談を我々にあけっぴろげに教えてくれることが、多くの人から好かれる秘訣なのではないかと思うのだ。

「ここだけの話だけど」が口ぐせになっているとしたら、すぐに改めよう。ここに書いたように、あなたの意図に反して、周りはあなたを信用できない人と見ている可能性が高い。

 もし上司にそんな口ぐせを持つ人がいたら、重要度を演出しているだけなので、注意が必要であることを知っておこう。

『残念な人の口ぐせ』より構成】