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「痛み日記」が教えてくれる、あなたの「痛み」が治らない本当の理由

痛みの専門家•伊藤和憲先生が伝授する「痛みのセルフケア」<12>

日記の「プラスとマイナスの感情」が
教えてくれるあなたの「痛み」の真実

 「今日は外に買い物に行けるようになった!」といった正の感情や、「将来このまま寝たきりになるようで不安」といった負の感情も正直に書き記していってください。そして、1週間ほど書いたなら、その時点でよい日と悪い日の共通点を探します。
 また、その日だけでなく、前日の行動や感情なども確認してください。
日記を見返してみることで、「今まで運動すると痛みが強まると思っていたけれど、晴れた日はそうでもなかった」「外出すると必ず痛みが出てくると思い込んでいたが、誰かと一緒ならそうでもなかった」といった、今まで気付かなかった発見があるはずです。

 つまり、自分の痛みの特徴をつかむことで、今まで誤解していた思考のゆがみを改善することができ、痛みとの正しい付き合い方がわかってきます。このような痛みの理解は認知行動療法とも呼ばれ、西洋医学の世界でも注目されています。なお、痛みが悪化したときの共通点に着目することが多いかもしれませんが、痛みがよくなったときの共通点をたくさん知っておくと、痛いときに応用できる自分なりのセルフケアとなります。

 長期間続いた慢性痛を速攻で完治することは、今の現代医学ではまだまだ困難です。しかし、痛みを完全になくすことにとらわれるよりも、痛みと上手に付き合うことを優先すれば、今よりももっと快適に生活を送ることができるはずです。

『慢性痛は自分で治せる!』より構成

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伊藤 和憲

いとう かずのり

明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。大阪大学医学部生体機能補完医学講座特 認研究員。1972年生まれ。2014年4月、厚生労働省の科学研究費を得て「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」を作成。明治国際医療大学京都桂川鍼灸院「mythos361」 院長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導。また、地下鉄サリン事件やJR福知山線脱線事故の被害者の「痛み」ケアにも当たっている。専門家や一般市民に向けて年に50回以上の講演を行なっている。


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  • 伊藤 和憲
  • 2017.01.21