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他人の秘密をバラしたらどんな罪になる?

【法律歳時記】うっかり犯罪者にならないための法律学

先日、ある不動産会社が制作したネット上の動画をめぐって騒動が起きました。撮影者は電話をしながら動画を撮っていたのですが、ネットに上がった動画にはそのときの電話でのやりとりが残っていたのです。しかもそこでの会話では撮影者の同僚と思しき個人についての噂話が繰り広げられていました。
今回は秘密の暴露をめぐる法律問題を考えます。

 

「ここだけの話」をネットに書き込んだら……

 いつの世も、人は噂話が好きなものですよね。特に「ここだけの話」といったたぐいのものは、なぜか不思議な魅力で人の心をひきつけるものです。

 かつては、「人の噂も七十五日」などと言われたものですが、現在ではネットで書き込まれた噂の類は七十五日どころか、場合によってはどんどん尾ひれがついて長く残ってしまうケースも少なくありません。
 では、このような「秘密の話」を、他の人にばらしたりネットに書き込んでしまう行為は、罪にならないのでしょうか? アディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士に話を伺いました。

「まず、友人の犯罪歴や不倫騒動などの人の社会的評価を下げるような事実を、ブログ等で不特定多数の人が見ることができるようにした場合、その内容がたとえ本当のことであったとしても名誉毀損になり得ます。名誉毀損になる場合、民法上の不法行為責任として損害賠償請求をされる可能性もありますし、悪質な場合は刑法上の名誉毀損罪によって処罰される可能性もあります」

 場合によっては、慰謝料だけでなく、罰金を支払ったり刑務所に入る可能性もあるということですね。特に不倫などのスキャンダルはみんなが大好きな話題なので、うっかり話してしまいそうなので要注意かもしれません。

言いふらすつもりはなかったけれど…

 では、個人を特定せずに、仮名でAさん、などとして話したり書き込んだりする分にはセーフなのですか?

「仮名であったとしても、その人のことであると特定され得る程度に事実が示され、それによってその人の社会的評価を下げてしまう場合には、やはり名誉毀損にあたり得ることになります」(岩沙弁護士)

 それでは、ついカッとなって人前で相手を罵ってしまった場合でも、名誉棄損になってしまうのでしょうか。例えば、「借りたお金も返さない、最低野郎!」なんてセリフはどうでしょうか。

「名誉毀損というためには、公然性、すなわち、不特定または多数人に対して、社会的信用を下げる事実を示す必要があります。人前でなじった場合には、不特定の人の前で社会的評価を下げる事実を示したということになりますので、名誉毀損にあたる可能性があります。仮に、単に『最低野郎!』など事実を示さずになじった場合は、侮辱罪にあたりうることになります」(岩沙弁護士)

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