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現役のうちから始めたい 隠居生活の準備

スローに暮らしてみる

米はブランドではなく、鮮度で選ぶ

 もし生活の質を高めたいのなら、本気でスローライフに取り組もう。隠居暮らしを楽しめるかどうかは、この姿勢にかかっている。
 ご飯は炊飯器ではなく、土鍋で炊く。家がオール電化の場合は、カセットコンロを使えばいい。そして、白米のときは、玄米から精米したての米を炊く。もちろん、普段は健康のために玄米だ。ビタミンやミネラルがバランス良く含まれた完全食なので、玄米ご飯なら他に何品目もの食品は必要ない。タンパク質が不足気味なら、納豆か魚の干物で補う。何品もおかずを作る手間も要らないし、この食生活ならメタボとも無縁だ。

 とはいえ、土用の丑の日には鰻丼を食べたいし、たまには炒飯やオムライスを作りたくなる。この様に、ご飯が主体の料理では、やはり玄米より白米が合う。普段は白米を食べないので、以前はその時だけ買っていた。少量といっても一合や二合というわけにはいかず、一袋で最低でも一、二キロはある。そして、当然のことながら余る。玄米なら生きているので劣化はしないが、白米だとそうはいかない。

 精米と聞くと大層に思うかも知れないが、家庭用の精米機は大変コンパクトだし、時間も四~五分と掛からない。糠はスベスベになるからと、ワイフが顔や身体を洗うのに使っている。ブランド米も結構だが、精米して何カ月も経った米を炊飯器で炊き、それをジャーで保温したりレンジで温め直して食べるご飯が、果たして美味しいといえるだろうか。精米したての新鮮な白米を丁寧に洗い、土鍋で炊きたてを頂く。これに勝る旨い米の飯はない。

 スローライフを享受するダウンシフターは、確かにレストランで外食することは滅多にない。だからといって、質の悪い食生活をしているわけではなく、むしろその逆だ。
 食材には拘りがあり、無農薬でオーガニックなものを好む。食品は調味料からお菓子に至るまで、無添加なものを選ぶ。これらは高価には違いないが、外食に比べればずっとコストは掛からず、しかも安全だ。

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奥田 裕章

おくだ ひろあき

一九六〇年生まれ、大阪府出身。名古屋市立大学医学部卒、近畿大学大学院医学研究科博士課程修了。医学博士、作家。山岳愛好家、料理研究家として、趣味のトレッキングとクッキングに勤しむ。私生活では、ミニマリスト&ダウンシフターとして、シンプルでスローな暮らしをエンジョイしている。現在、兵庫県に在住。夫婦二人暮らし。


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