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イギリスで公務員として働く猫たち

怠け者なんていわないで! 立派に働いているのは犬だけじゃない

最も格式高い英首相官邸ネズミ捕獲長

▲サラリーマンや公務員の猫もいる!?(写真はイメージ)

 盲導犬や牧羊犬など、人のために活躍する犬の姿を目にする機会は多い。チワワなどの小型犬が警察犬に選ばれることもあり、犬種を問わず働き者のイメージがある。
 一方の猫はどうだろうか。いつも寝てばかりだし、人の言うことなど聞いてはくれない。しいて言えば、「かわいい」を最大限にいかした活動で、和歌山電鐵のたま、ニタマ駅長に代表されるようにマスコット的な仕事しか与えられない、そもそも不可能だと思われるかもしれない。

 しかし、猫だって人のために活躍してきた歴史がある。その最たるものは「ネズミ捕り」ではないだろうか。日本でも、中国から書物などを運ぶ際に、ネズミの被害を防ぐために猫を同乗させてきた歴史がある。
 海外でも猫は活躍しており、イギリスでは猫を船に乗せることが当たり前だった。なぜなら、積荷がネズミの被害に遭ったとしても、猫を乗せていない船には保険が適応されないからだ。自ら積荷を保護する責務を怠ったと見なされてしまうほど、猫は重要な役割を果たしていた。
 現在でもネズミ捕りの能力が認められ、欧米では猫を職員として扱うこともある。そのなかでも、もっとも格式が高いのは、イギリスの首相官邸ネズミ捕獲長かもしれない。
 公務員として正式に雇われている猫で、職員の飼い猫や保護施設から迎えられた猫たちが責務を追う。これまで約10頭の猫がこの職に就き、ネズミが多いダウニング街では高い職務が期待されている。
 バンダイの英国法人、バンダイUKでは、猫と警備員契約を結んだことで話題になった。倉庫番として雇われたミリーの報酬は、キャットフードと魚。きちんと足印を押した契約書まであるという。

 こうした有能な猫たちの活躍はメディアでもたびたび報道されるが、やはり猫のいちばんのお仕事といえば「かわいい」こと。その魅力を最大限に生かせるのは、アニマルセラピーとしての職務かもしれない。
 ただ猫と触れ合うだけでもストレスが軽減され、心拍が安定するともいわれているが、日本動物病院協会では、「CAPP認定セラピー猫」として活躍するための基準を設けている。
 飼い主以外の人や動物と遭遇しても逃げ出さないことはもちろん、全身をなでられてもOKか、クレート内で落ち着いていられることなども求められ、試験をクリアした猫が認定セラピー猫として活躍できるという。猫だけでなく、飼い主のマナーもチェックされる厳しい試験だ。
 存在そのものが癒やしとなり、人々を笑顔にしてしまう。これこそ、猫の最大の「お仕事」なのかもしれない。

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